「……それが原因で、降渡は絆に追い掛け回されていた。風紀委員だったのが始まりらしい」

「ネクタイしめろー、て? 降渡さん、先生には何も言われなかったの?」

「教師はその理由を知っていたから、むしろ絆を止めようとしていたみたいだ。でもそれで止まらねえのが絆でなあ……。突き進み過ぎるんだ」

「ふーん?」

「それを当時……俺も少しミスった」

「流夜くんが?」

「降渡が絆をすきだって気づかなくてな……。絆を降渡の周りから追い払おうとした……」

「………」

「絆に追い掛け回されるの、降渡はわざとやってたんだ。それと知らずに追い払おうとしたから、降渡に殴られた」

「………」

「初めてあいつに怒られた。それで謝ったんだけど、降渡はまあ赦してくれたんだが、絆の方は完全に俺を忌み嫌っててなあ……」

「………」

「俺らに絡んで来た過程で絆のことを知った宮寺は……簡単に言うと、絆に気を惹かれた。傍から見たら、俺が降渡と絆の仲を邪魔したように見えたらしい。それが原因で悪感情持たれた。……のが、今でも続いている……」

「……つまりは流夜くんの勘違い言動が原因で、宮寺先生と絆さんに、流夜くんが悪く思われているってこと?」

勘違い言動。結構ぐさりとくる言葉だ。咲桜に悪意がないとわかっていても。

「そういうことだ……」

「謝ったんだよね?」

「それはちゃんとした」

「うん、わかった」