ポケットから手のひらに収まる四角いものを取り出した。

「? 何それ。機械?」

笑満が眉根を寄せる。

「ボイスレコーダー。相手の同意なしに録音されたものは法的能力ないって言うけど、まあ法廷に関わらなければ証拠扱い出来るじゃん? 遙音先輩に嫌なこと言われたらこれ動かして言質(げんち)とっとけ」

「何考えてんの⁉ 遙音くん脅す気⁉」

「やだなー。護身用具の一つだよー」

「誤審用具の間違いでしょそれ! あーもうそんな危ないもの持って! 誰の入れ知恵? 在義パパ? もしかして流夜くん?」

「え、自発的にだけど」

「心ゆくまで在義パパの娘だよね咲桜は!」

怒られた。いや、褒められた?

てか笑満の中で在義父さんは録音機器とか常備してる認識なのか。在義父さん生き方間違えてないかな。(実際のところ、在義パパは常備しています。※作者注)

ぽん。両肩を笑満に摑まれた。

「咲桜、あんた今日絶対流夜くんに逢いなさい」

「え、どうしたの」

「言動の方向性のおかしさがいつもと違うよ。淋しさ爆発させてんのは咲桜もでしょ」

「―――」

それは日頃の自分の発言もおかしいということだろうか。じゃなくて。

「でも――

「でもとかだってを言わない」

「……近づいちゃダメって言われてるのに逢いたいとか、我儘でしょう……」

「流夜くんが咲桜のとこへ行くのは大丈夫って言ってたじゃない。……咲桜の本心の我儘くらい受け入れられないほど器の小さい人なの?」