「そういうわけだ。そろそろ親離れしろ」
「お前らは親代わりだけど親じゃない」
「……そうだが」
「つか、本物の親以上に慕ってるよ」
「……そう言われると返す言葉がないな……」
「じゃあ返さなくていい」
遙音が、軽く机に腰かけた。
「お前って身内に甘いんだよな」
「……どうした、急に」
「いや。宮寺のカンチガイだって、お前があいつら護ろうとしたから生じたことだろ。上手く対処出来なかったのはあの頃の過失だけどさ」
「……勘違いで済んでくれるならいいんだけどな……」
「済ませろよ。あれじゃね? もう諏訪山(すわやま)が雲居と結婚すればいんじゃね?」
「……そうなってほしいとは思うけど……周りが強要出来ることじゃないだろ」
「そーか? お前らの仲ならアリだと思うけど」
「……遙音、松生に告白して付き合ってこい、つってすぐに実行出来るか?」
「………悪い」
その例を取られば、遙音に反論は出来ないだろう。
「……あのときは俺の対処法も悪かったと反省してる」
「あー、ありゃ最悪だったよな。……なあ、それはあんま咲桜に知られねーようにしろよ?」
「わざわざ言うことでもないだろ」
「言いそうな奴が傍にいるから学内で逢えないって言ったんだろ。あいつ、まさか咲桜がお前と付き合ってるなんて知ったら、なんの復讐か言っちまいそうだろ」
「………」
「笑満ちゃんと頼には、軽く話して止めといたから」
「話したのか?」