無理矢理話を変えた。
これ以上自分の感情をさらすことを言ったら、それこそ戻れなくなる。
って言うか引かれるって。笑満ちゃんははっとしたように俺を見て、頭をぶんぶん振った。
「あ、これ咲桜にもらったの。美味しーよ」
「ふーん」
誰かに作ってもらう弁当……憧れる。
最近神宮は咲桜の手作り弁当をいただいていて、何度か掠め取ったりした。
でもそれは咲桜が神宮のために作ったものだから、神宮が食べているものとは味が違うんじゃないかと思う。
「咲桜って料理上手いよなー」
「うん! すっごい上手!」
急に笑満ちゃんの瞳がキラキラしだした。
……咲桜が褒められると自動的に笑満ちゃんも嬉しくなるらしい。仲いーな。ちょっと妬ける。
「遙音くんは、パン?」
「うん。大体バイト先でもらったヤツとか」
「そうなんだ」
俺は頼れる親族がいないので、高校からは一人暮らしをしている。
バイトも学校に申請して許可をもらっていた。学費は、特待生として入ったので免除されていた。
「食べる?」
「いいの?」
笑満ちゃんが箸に卵焼きを摘まんで差し出してくれた。俺の声も明るくなった。