「よう」

「………」

ドガッ!

宮司に向かって中段蹴りが炸裂した。

「無言で攻撃すんのやめろよ!」

「関わるなつったろ」

駐車場。いつもより時間は遅い。宮寺の対策に連絡を取る必要がある人物に時間を作ってもらうのを待っていたら、今になった。多忙な人だからその辺りはしょうがない。

そしたら宮寺に捕まった。くそ。

「俺は了承した覚えねーよ」

「俺は押し付けた覚えある」

……小学生の応酬のような平行線だった。

「何でまだいんだよ」

「教頭に捕まってたんだよ。俺も早く研究室帰りたかったんだけど」

「だったらさっさと帰れ」

「そしたらお前いたから追って来た」

「吹雪に通報するぞ」

電話を片手に持ったところで、あれ、自分、行動が朝間先生に近づいていないか……? そんな不安が頭を過った。

行動が似てきている気がす……似てない。絶対に。

……宮寺は高校時代に朝間先生に懐いていたから、決してそんなことは言えないが。

むしろあの人と関係あるなんて思われたくない。……まさしく犬猿の仲を同僚と築いてしまった。

――いや、今の手は降渡に対しても使っていたから、絶対に朝間先生の影響ではない、と頭を降る。

……宮寺は変なものを見る瞳で見て来た。――が、急に哀愁を帯びる。

「絆(きずな)先輩、どうしてんの」

急に出て来た名前。

……やっぱりその話か……。