「へー。……ばらしたらどうなっかなー」



宮寺先生がそんなことを言った。

思わず身を乗り出しそうになったけど、笑満に腕を引かれて留まった。

ばらすとは、流夜くんの素顔――犯罪学者として活動していることだろう。

それはまずい。流夜くんが警察に関わっていることまでいもづる式にばれてしまうかもしれない。

……けど、宮寺先生ってどういう知り合いなんだろう。

その名前を流夜くんから聞いたことはない。知っているのは、藤城の卒業生だということ。流夜くんは桜庭学院卒業だ。

「勝手にやれよ」

流夜くんは硬い声で言い捨てると、「ただし学内で俺に関わるな」と残して出て行った。

「……夜々子先生、神宮、今でもあんなんなんですか?」

「んー、大分穏やかに先生やってるわよ? 学校でああいう風に喋ってるのは初めて見たかな」

「……へー」

宮寺先生は興味をそそられたように肯き、「じゃあ、また構ってくださいね」と言って保健室を出た。

「……聞いちゃった?」

夜々さんが窓のへりに腕をついて覗き込んできた。

「惚れ直しました」

「……どこに?」

私が素直に答えると、夜々さんは笑顔で首を傾げた。

「びっくりしました。神宮先生もあんな風に話すんですね」

笑満が言うと、夜々さんは困ったような顔になった。