「…………」

「………………自分の?」

確定的なことを言った流夜くんに、今度こそ私は言葉を失った。じ、自分からばらした⁉

宮寺先生は先生で、まだ呑み込めていないのかぽかんとした顔をしている。

「そういうことだから。華取咲桜は俺のだから、お前に泣かされると気分が悪い」

「は―――? …………えええええっ⁉ おま、本当に本気で言ってんのか⁉」

「当り前だ。てか、俺は今年で学校変わるし、咲桜が卒業したら結婚するから」

「―――――!」

明け透けに言い過ぎじゃない⁉ 絶対大丈夫じゃないよね⁉

「な―――」

ひくり、と宮寺先生が息を呑んだのが聞こえた。

「なんで」

「……どういう意味だ?」

「どうしてそんなことが言える。お前が。あれだけ恋人がいながら、誰一人だって正しく自分の女になんてしなかったお前が、結婚だの言う。しかも華取さんて――」

「んなもん、惚れたからに決まってんだろ。俺、咲桜には傍から見るとアホみてーに惚れこんでるらしいからな。教師や生徒だから、なんて理由で反対されて咲桜を誰かにとられるくらいなら、ここ辞めて咲桜を攫うね」

「………」

びっくりした、と宮寺先生の顔に書いてある。

「あ、あの!」

流夜くんの手を振り払って、声をあげた。

「宮寺先生、在義父さんとも知り合いなんですよね? 大丈夫です! 父さんにも認めてもらってますから! 反対とかされてないし、なんだったら流夜くんにうちに住めとか言ってましたし!」

「………」

宮寺先生は余計黙り込んでしまった。

私は、うう、と顔を歪めた。

ここまでばらしてしまっては、どうにかして宮寺先生を説得しないと――

「――それは、華取さんも同意していることなのか?」

「勿論です!」

意気込んで答えると、宮寺先生は眉を寄せていた。