ここまで答えて、はっと口を噤んだ。
宮寺先生は――遙音先輩と面識があるなら、どこまで知っている? 先輩のことも……。
「そう、なんだ……」
少し、宮寺先生の声が沈んだ気がした。どうかしたのかな?
「宮寺先生? お話だったら外行きますか?」
「え? ああ――そうだね。簡単に終わらせるから」
私の先導で、校舎の下の植え込み沿いにあるベンチまで来た。
流夜くんにこっそり言われていた。
もしまた宮寺先生が接触してきたら、なるべく校庭――旧館から少しでも見える場所にいてくれ、と。
と、とりあえずここなら流夜くんがいるとこから見えると思うけど……今度は何訊かれるんだろ……。
当たり障りのない話でありますよーに!
心の中で手を組んで願っていると、宮寺先生から「華取さんて」と話し出された。
「神宮のこと、教師としてどう思う?」
「!!!!!!!」
ど真ん中ついてきたー! 的確に急所狙って来たー!
な、何故……⁉ やはりばれているか……⁉
「じ、神宮先生ですか? えーと、穏やかで優しい先生だなー、とか?」
取りあえず、お見合い事件前のイメージを話してみた。
本当は全然穏やかじゃないけどかなり優しいからいいだろうか。
「穏やかで、優しい、ねえ……」
ふと、宮寺先生の声が影を帯びる。
「なんであいつ教師なんてやってんだろうなあ……」
その理由、今となっては私も知っているけど、下手なことは言えない。
返事に詰まっていると、ふとあることを閃いた。
そうだ、訊かれるだけじゃなくて……。
「宮寺先生、神宮先生とお知り合いなんですか?」
――反対に、立ち入ったことを訊いてみる。
心臓はドキドキしているけど、大丈夫。これはただの雑談だと言い聞かせる。