「………てめえはヒトの質問もぶっ飛ばさねえと会話出来なかったか……?」

「お前と会話する気ねーから。俺の質問に答えてくれ」

「ここじゃなかったら歯ぁ折ってんぞ」

「それは。ここにして命拾いしたよ。んで、藤城で何か企んでるわけ?」

「………」

睨みつけても動じない。宮寺は俺からのこんな目つきは慣れている。

「……何も企んじゃいない。……理由の一つは、美流子を探しているだけだ」

「ああ……」

その一言で、宮寺は納得したと肯いた。

俺らの側に頭から突っ込んできた旧知は、俺の状況も降渡たちから学生時代に聞いていた。

「それなら、『そうか頑張れ。藤城は俺の母校だから何か出来ることがあったら力になるぞ』――って言ってやれんだけど。生憎お前はそういうキャラじゃないもんな」

「……だから何が言いたいんだ、お前は」

こうも持ってまわった言い方をされると、俺の予定も狂う。

さっさと学生時代の誤解を解いておきたいのに――

「お前、今の女に本気なわけ?」

「―――は?」

今の? だからどういう意味……だ?

「いや――俺もまさか見る気なんてなかったし、お前だとも思ってなかったんだけど。この前車ん中でいちゃついてるお前を目撃してしまった。ごめんなさい」

「………」

謝られた。しかも軽く頭を下げられた。相変わらず誠意の塊みたいな奴だ。

「………見たって、なにを……?」

「そういう話させるの? 恥ずかしいんだけど。……でもはっきり言わないとわかんないんなら言うしかないよな。薄暗かったからはっきりとは見てないから安心しろ。まさかお前が車内で女といちゃついてるとこなんて一瞬信じらんなくてすぐに反転して帰ったから」

車内で、女と、いちゃついて。