「だから、琉奏が俺を介するのは当然――だと思ってろ。お前はぐだぐだ考え過ぎなんだよ。理由がほしかったらそれっぽいモンでもテキトーにつけてろ。あれか? 俺が考えてやろうか?」
「………」
本当にこいつはずけずけ入ってくる。遠慮がない。……それこそが雲居降渡なんだが。
「お前に会いたいって言ってきてるんだ。会ってやれよ。りゅう」
「………」
降渡が机に投げた紙を拾う。
「………いつだ?」
+
「――宮寺」
低く響いた呼びかけに、その背中は小さく揺れた。宮寺が示したのは、『白』だった。
「……本当にお前だったのか」
嘆息のような、呆れたような声に一瞬イラッとした。降渡や吹雪はそうではないらしいが、俺は宮寺の言動がいちいち癇に障るタイプだった。
どうしてかは、わざわざ推察したくもない。
「どういう意味だ」
そういう俺は学校での格好から、眼鏡だけを外した姿だった。
《白》へ来るのならば素顔に戻っておいた方がいいのだけど、学校を出てすぐに来なければ間に合わない時間を指定してきた。
なんのため?
「……本当に教師やってたんだ、お前」
「学校で殴られそうになったくせにどういう意味だつってだよ」
殴りそうになった奴に言われたくない。宮寺に返されて、またイラッとした。
「お前さあ、学校での評判と全然違うんだけど。何それ」