「………」
え。
「すぐに結婚、ってのも急すぎるかな。俺は、本当はそうしたいとこだけど。一応、卒業までは待つつもりはあるから――咲桜?」
固まった。
「咲桜? 大丈夫か? ……いきなり過ぎて引いたか?」
はっとして、ぶんぶん首を横に振った。
「ま、待ってて、くれる、の? そ、卒業までって、あと――ほとんど三年もあるよっ?」
「たった三年だろ。これからずっと一緒にいるんだから、それからしたら短いもんだろ」
「~~~」
ああもうどうして。
「……受けてくれるか?」
こっくり、肯いた。
瞼が伏せ気味に、流夜くんの手を握り返す。
あふれるばかりではない。この人は、腕を広げて真正面から受け止めてくれる。
……私の気持ち。私から伝えられる、ことば。
「愛してます。ずっと、傍にいさせてください」
急に、流夜くんの手が熱くなった。私が顔をあげると、頭を押さえられてまた俯くようになってしまった。
「あの? 首痛いです」
「お前……爆弾ばっか落とすなよ……」
「いや、それは流夜くんの方かと」
「お前だよ。……頭沸騰しそうだ……」
「?」
「気にするな。戯言だ」
「ですか?」
一言にふされて首を傾げていると、流夜くんの手が私の髪を撫でた。
「偽婚約から、婚約に一歩前進ってことで、な?」
ぶっきらぼうな声。恥ずかしいのかな? 私は嬉しい。
「はいっ」