二人きりという状況だけでドキドキしてろくなことが考えられない。
考えようとしたけど、目線は流夜くんの横顔に行って、
~~~! カッコいい! 横顔! 整い過ぎ! しかも眼鏡なしだし! 横から見ても眼光すごいよ! 射殺されるよ! ちょ! こっち見てください! お願い! いや! それよりも盗み見てるのも捨てがたい! 今流夜くん独り占めだし! あーもうすき! 叫んでいいかな? でも怒ってたら怒られるよね? でも言いたい! ……けどこれ以上嫌な思いもさせたくない……。
となる。結果、私の気持ちは落ちるのだ。
二人きりと言う状況だけでドキドキして頭がまともに動かない私は、正常な考えも答えも出なかった。
心は轟々(ごうごう)とたぎっている。
でもそれはきっと、自分だけだ。
もし流夜くんが今、嫌な思いをしているとしたら、怒っているとしたら、原因は一つだ。
現実。
呼吸を。一度大きく吸う。
目を、流夜くんから逸らして前に向けた。
「……宮寺先生と、話した」
「………」
「父さんの娘だって知って、話したかったって言われた」
「……そうか」
「うん。それだけだった」
よかった。思ったよりは流夜くんに対して錯乱した話し口調にはならなかった。
頭の中では、ギャーッ! 少しかすれた声も素敵です! となっているけど。最早錯乱している私だけど。



