「なん――」

「神宮先生に頼みたいことがあって来ました」

流夜くんが咎める前に、頼が先程の紙を突き出した。

「俺ら三人で部活作りたいんで、顧問になってください」

さすがにその案は意外だったようで、流夜くんは一瞬だけぽかんとしていた。

しかし次の瞬間には頼の考えと行動を悟ったらしく、軽く微笑を見せた。

「なるほど。日義らしい妙案だな」

「お褒めにあずかり光栄です。部長は咲桜にしときますんで」

「えっ! なんで私⁉」

部長もなんもつい今しがたこれが部活の申請書だと聞いたばかりで、何部だかも知らないのに。

「だって部長会議とか、俺、起きてる自信ないし」

だろ? と見返されて、返答に詰まった。

起きている以前に、頼は会議室に行くことも出来ないと思う。ぐーたら寝てばっかだから。

「まあ冗談は置いておいて」

いや、真剣な問題だよ。

「部長は顧問と関わって、一番不自然じゃない」

だろ? と、今度はにやにやされた。た、確かに……。

「でもさ、部活になったら学校公認になるわけだけど、もし他に入りたいって子が来ちゃったらどうすんの?」

笑満が思案気な顔で問う。そうだよ。それこそ、この部活を作った理由がばれていまいかねない。

「入部試験とか作って、俺に一任してくれればいい。部長が咲桜でも俺が主宰って言えば、試すのが俺でも不審には思われないだろ。あとは俺が全部入部拒否すっから」

すごい初期設定の部活だ。というかそれは部活なのか?

「大丈夫。俺、教師に口で負けないから。もちろん神宮先生にも」

「「………」」

笑満と一緒に一瞬固まった。

目の前にして堂々と宣言するか。しかもさっきは天才呼ばわりしていた人を。