「そうだよ。うちって、二人以上の生徒と顧問を受けてくれる教師がいれば、結構簡単に部活作れるから。俺らのクラス、神宮先生の担当教科あるから全く関わりないわけじゃないし、今はどこの顧問もしてないから、暇そうな先生に頼みましたーつったら怪しまれることもないだろ」

「………」

「……頼、すごいね」

笑満から感嘆の声がもれた。

私は驚きが過ぎて声が出なかった。

それって、私と流夜くんが学校で逢っていても何かを疑われない理由作り?

「頼――なんでそんなこと……」

してくれるの? 最後まで唇が動く前に、頼は「んー」と唸った。

「なんつーか、詫び?」

「……わび?」

「咲桜、俺の所為で色々苦労かけてきたから――あの人なら、たぶんそういうのからも護ってくれると思うから、この辺りでケジメ、かな」

「「………」」

苦労かけた自覚あったのか。自覚あるならもっと早くにどうにかしてほしかったよ。

「……あの人はさ、本物の天才だよ」

「え、今度はなに? いきなり」

頼は突と喋り出した。

旧校舎に近づき、もう生徒も見えなくなる場所だ。

頼はまた「んー」と唸る。

「ちょっと探したんだけど、あの人は紛いなく間違いなく天才。春芽吹雪や雲居降渡は秀才ではあるけど――春芽吹雪は、まあフィフティーフィフティーな面もあるけど。……あの人は、タチが悪いタイプの天才だ」