お父さんに認められても、壱成さんは朝の挨拶を辞めなかった。「おはようございます」とお父さんに頭を下げる壱成さんを見つめる。私のためなら、何でもしてくれる人。
手を繋ぎ、最寄り駅まで向かっている最中、認められたという気持ちが嬉しくて、壱成さんにいつもより寄り添う自分がいた。
その間に壱成さんは教えてくれた。昨日の会話を。マンションを借りる場所や、壱成さんが働く業種や、場所。──それから、壱成さんの親はなんて言っているのか。
「……壱成さんの、ご両親はなんと」
「了解は貰っている、今度、佳乃を紹介させてほしい」
「はい、もちろんです……。一緒に住むことに反対されていないのですか?」
「全く、佳乃のこと、気にいると思う。あんたは優しくていい子だから」
「そんな、私なんて……」
優しくて、いい人なのは壱成さんなのに。でも、壱成さんにそう言われると嬉しい。
嬉しくて頬を染めていると、壱成さんが立ち止まり、壱成さんの手が伸びてくるのが分かった。これからは毎日すると言っていた壱成さん……。
恥ずかしく、下を向こうとすれば、少し顔にかかっていた髪を壱成さんの指先で遠のけた。
「今度、部屋を見に行こう」
壱成さんが、甘く言う。
「……はい」
「引越しになるから、佳乃も荷物をまとめて」
「……はい」
「佳乃?」
甘い、声を出す壱成さんに、胸のドキドキが止まらない。──抱き合ったりはしているのに。こんな心臓じゃ2年後はどうなるんだろう……。
緊張で、頬が赤くなるのが分かった。
好き、好き、壱成さんが好きで……。好きすぎて泣きそうで。少し潤んだ目で壱成さんを見上げた。無意識に繋がっている手も強くなり。
「ヘアピン、つけてきたのか?」
「……は、はい」
「似合ってる」
「…壱成さん……」
「ん?」
「い、いま、すごく」
「うん」
「壱成さんに、抱きしめられたい……」
じ、と、壱成さんを見つめる。
「好き……、壱成さん……ほんとにすき……」
壱成さんが、私の体を引き寄せる。壱成さんは力が強いのだと思う。それでも私が痛がらないように、無意識に力が抜けている。
壱成さんは背が高い。
壱成さんの胸元に顔を埋めた私は、そのまま顔を上に向けた。
壱成さんが、私の頬に手を添える。その頬を愛おしそうに撫でる。
「…外でいいのか?」
初めてのキスは……。
「壱成さんはいや……?」
「いやなわけない」
「したい……」
壱成さんの腕の力が強くなった。
「あんた、お願いする時だけ敬語を無くすのか?」
壱成さんの整った顔が近づく。
「だめ……?」
「いや、」
唇に、壱成さんの吐息がかかる。
「可愛くてどうにかなりそうだ」
唇が重なった。壱成さんの唇は、柔らかく。唇に、熱が溜まるのが分かった。数秒程で離し、壱成さんの腕の力も弱くなる……。
今度は私から近づいていた。それを分かっているからか、私の背を伸ばすように壱成さんの力強い腕が支えてくれて。
また、重なった。
「……2年」
「え?」
「我慢できっかな……」
今度は幸せそうに笑った壱成さんから、唇が重ねあわせてきた。
手を繋ぎ、最寄り駅まで向かっている最中、認められたという気持ちが嬉しくて、壱成さんにいつもより寄り添う自分がいた。
その間に壱成さんは教えてくれた。昨日の会話を。マンションを借りる場所や、壱成さんが働く業種や、場所。──それから、壱成さんの親はなんて言っているのか。
「……壱成さんの、ご両親はなんと」
「了解は貰っている、今度、佳乃を紹介させてほしい」
「はい、もちろんです……。一緒に住むことに反対されていないのですか?」
「全く、佳乃のこと、気にいると思う。あんたは優しくていい子だから」
「そんな、私なんて……」
優しくて、いい人なのは壱成さんなのに。でも、壱成さんにそう言われると嬉しい。
嬉しくて頬を染めていると、壱成さんが立ち止まり、壱成さんの手が伸びてくるのが分かった。これからは毎日すると言っていた壱成さん……。
恥ずかしく、下を向こうとすれば、少し顔にかかっていた髪を壱成さんの指先で遠のけた。
「今度、部屋を見に行こう」
壱成さんが、甘く言う。
「……はい」
「引越しになるから、佳乃も荷物をまとめて」
「……はい」
「佳乃?」
甘い、声を出す壱成さんに、胸のドキドキが止まらない。──抱き合ったりはしているのに。こんな心臓じゃ2年後はどうなるんだろう……。
緊張で、頬が赤くなるのが分かった。
好き、好き、壱成さんが好きで……。好きすぎて泣きそうで。少し潤んだ目で壱成さんを見上げた。無意識に繋がっている手も強くなり。
「ヘアピン、つけてきたのか?」
「……は、はい」
「似合ってる」
「…壱成さん……」
「ん?」
「い、いま、すごく」
「うん」
「壱成さんに、抱きしめられたい……」
じ、と、壱成さんを見つめる。
「好き……、壱成さん……ほんとにすき……」
壱成さんが、私の体を引き寄せる。壱成さんは力が強いのだと思う。それでも私が痛がらないように、無意識に力が抜けている。
壱成さんは背が高い。
壱成さんの胸元に顔を埋めた私は、そのまま顔を上に向けた。
壱成さんが、私の頬に手を添える。その頬を愛おしそうに撫でる。
「…外でいいのか?」
初めてのキスは……。
「壱成さんはいや……?」
「いやなわけない」
「したい……」
壱成さんの腕の力が強くなった。
「あんた、お願いする時だけ敬語を無くすのか?」
壱成さんの整った顔が近づく。
「だめ……?」
「いや、」
唇に、壱成さんの吐息がかかる。
「可愛くてどうにかなりそうだ」
唇が重なった。壱成さんの唇は、柔らかく。唇に、熱が溜まるのが分かった。数秒程で離し、壱成さんの腕の力も弱くなる……。
今度は私から近づいていた。それを分かっているからか、私の背を伸ばすように壱成さんの力強い腕が支えてくれて。
また、重なった。
「……2年」
「え?」
「我慢できっかな……」
今度は幸せそうに笑った壱成さんから、唇が重ねあわせてきた。