「失礼します。相良 亜里香さんはいらっしゃるかしら?」
1人の女子生徒が、亜里香を呼んだ。
たしか、どこぞの社長令嬢(ただしあやかしではない)の1個上の先輩である。
「また告白?って、女子じゃん。あの先輩、あんまいい評判ないよ。
なんか嫌な予感がするけど、大丈夫?ついていこうか?」
美紗は、とうとう恐れていたことーー亜里香へのひがみやっかみにより嫌がらせが行われることーー
が始まるのではないかと、ヒヤッとした。
「だーいじょうぶだよ!あたし、これでも世界トップレベルの魔女ですから!」
と、小声で宣言する亜里香に、ほっとした美紗は、
「そだね。なんかされたらコテンパンにしてきな。
いってらっしゃーい」
と、亜里香を送り出した。
ついてきてと言われてきたのは、誰もいない音楽室。
「ここならしばらく人も来ませんわ。」
と、ここで話をすることに決めたらしい先輩を見て、
亜里香はほっと胸をなでおろした。
万が一、魔法を使う羽目になった時、中庭とかだと、
相手以外にもばれてしまうからである。
相手には、口外したら痛い目に合う呪文をかけるのだ。
「なぜ、虎ノ門 雄輝様の花嫁になどなれたのか、
話してくださいます?」
「存じ上げません。花嫁ですから。
ただ、家出したときに、『俺の花嫁』だって言われただけで…」
花嫁というのは、あやかしの運命だといわれる。
花嫁を花嫁たらしめる所以は知られておらず、
わかっていることといえば、あやかしとその花嫁は出会ってしまえば必ず相思相愛になること、
その間に生まれる子供は霊力が強くなり、一族は繫栄するということ。
あやかしは、自分の花嫁に会うと、何かしらを感じるらしい。
「なによそれ。あなた、どこのご令嬢でもないらしいじゃない。
あなたよりも、もっと雄輝様にふさわしい方がいらっしゃるんだから。
おとなしく身を引いてはどう?」
亜里香は眉をひそめた。嫉妬から呼び出されたのだと思っていたが、
どうやら違うらしい。
腹が立っているだけだったら、「いらっしゃるんだから」とは言わないはずだ。
「いるはず」もしくは「自分の方がふさわしい」と言うだろう。
つまり、誰かが雄輝の彼氏か何かになるために、亜里香を呼び出したことになる。
「誰のことですか?」
「あら、勘がよろしいのね。」
亜里香は、この女、まじで悪役令嬢みたいなしゃべり方をするな、
とかなりの悪口雑言を心の中でぶちまけた。
「で、誰なんです?」
「由緒正しき鬼澤家のご令嬢、華子様ですわ!」
当たり前とでもいうように言う彼女がオホホホと笑うのに対して、
どっかで聞いたことある名前だな、などと考えていた亜里香は
「はあ・・・」
と答えるしかなかった。
1人の女子生徒が、亜里香を呼んだ。
たしか、どこぞの社長令嬢(ただしあやかしではない)の1個上の先輩である。
「また告白?って、女子じゃん。あの先輩、あんまいい評判ないよ。
なんか嫌な予感がするけど、大丈夫?ついていこうか?」
美紗は、とうとう恐れていたことーー亜里香へのひがみやっかみにより嫌がらせが行われることーー
が始まるのではないかと、ヒヤッとした。
「だーいじょうぶだよ!あたし、これでも世界トップレベルの魔女ですから!」
と、小声で宣言する亜里香に、ほっとした美紗は、
「そだね。なんかされたらコテンパンにしてきな。
いってらっしゃーい」
と、亜里香を送り出した。
ついてきてと言われてきたのは、誰もいない音楽室。
「ここならしばらく人も来ませんわ。」
と、ここで話をすることに決めたらしい先輩を見て、
亜里香はほっと胸をなでおろした。
万が一、魔法を使う羽目になった時、中庭とかだと、
相手以外にもばれてしまうからである。
相手には、口外したら痛い目に合う呪文をかけるのだ。
「なぜ、虎ノ門 雄輝様の花嫁になどなれたのか、
話してくださいます?」
「存じ上げません。花嫁ですから。
ただ、家出したときに、『俺の花嫁』だって言われただけで…」
花嫁というのは、あやかしの運命だといわれる。
花嫁を花嫁たらしめる所以は知られておらず、
わかっていることといえば、あやかしとその花嫁は出会ってしまえば必ず相思相愛になること、
その間に生まれる子供は霊力が強くなり、一族は繫栄するということ。
あやかしは、自分の花嫁に会うと、何かしらを感じるらしい。
「なによそれ。あなた、どこのご令嬢でもないらしいじゃない。
あなたよりも、もっと雄輝様にふさわしい方がいらっしゃるんだから。
おとなしく身を引いてはどう?」
亜里香は眉をひそめた。嫉妬から呼び出されたのだと思っていたが、
どうやら違うらしい。
腹が立っているだけだったら、「いらっしゃるんだから」とは言わないはずだ。
「いるはず」もしくは「自分の方がふさわしい」と言うだろう。
つまり、誰かが雄輝の彼氏か何かになるために、亜里香を呼び出したことになる。
「誰のことですか?」
「あら、勘がよろしいのね。」
亜里香は、この女、まじで悪役令嬢みたいなしゃべり方をするな、
とかなりの悪口雑言を心の中でぶちまけた。
「で、誰なんです?」
「由緒正しき鬼澤家のご令嬢、華子様ですわ!」
当たり前とでもいうように言う彼女がオホホホと笑うのに対して、
どっかで聞いたことある名前だな、などと考えていた亜里香は
「はあ・・・」
と答えるしかなかった。