容姿を変えたといっても、すごく変わったことは無い。どちらかというと校則をきちんと守っている私のスカートは長いままだし、化粧もうっすらとしているのみ。
だから友達が変わったとか、先生の私に対する態度が変わったとかそんなものはなくて。
「はる、ありがと」
私のノートを見終わった乙和くんは、いつものように機嫌良く私の元へやってきた。
付き合ってもなお、乙和くんはお礼を忘れない。今日は桃のジュースらしい。
「ううん、本当にいいよ?お礼しなくても…」
「それはだめ」
付き合ってるのに、だめらしい。
「今日、放課後バイト入ってるから、お昼一緒に食べよ」
「うん、いいよ」
「どこで食べる?」
「食堂は?乙和くん今日お弁当持ってきてるの?」
「コンビニで買ってきたよ。だから買いに行かなくても大丈夫」
「ほんと?じゃあ外のベンチにする?」
「そうしよ。じゃあまた後で誘いに来る」
「うん」
ばいばいと、笑顔をなっている乙和くんに私も笑顔で返した。有言実行通り、乙和くんはお昼休みになると「行こ」と私を誘いに来た。
学校の中なのに、手を繋ぐ乙和くんは、凄く温かい…。
まだこうして乙和くんに触れられる事を恥ずかしく思う私は、顔を赤く染めたまま。
いつもいつも心臓がドキドキと踊ってる…。
手を強く握られれば、頬がもっともっとと紅葉色になっていく。それを悟られないように、私もぎゅっと握りしめれば、柔らかく笑ってる乙和くんと目が合った。
へたへたと、頬がりんご色になり、手の力が抜ければ「俺の勝ち」と、乙和くんは手を繋いだまま引き寄せ嬉しそうに笑った。
大好きな乙和くんには、いつも敵わない…。
私をドキドキさせ、いつも大事にしてくれる乙和くんは、私を笑顔にさせてくれる天才なのかもしれない。