乙和くんと喋るようになり、私の友達も「早川と仲良いの?」「怖くない?」「どうやって仲良くなったの?」と聞かれたりもした。

中には「付き合ってるの?」と言う人もいて。そんなわけないと顔を横にふっていた。
かっこいい乙和くんと、決して可愛いない私。
グループも違いすぎる。
乙和くんの周りには沢山の友達がいて、その中には凄く可愛い女の子もいたりする。

「乙和ぁ」と、乙和くんの腕に自らの腕を絡ませる女の子もいて。いつも愛想が良く、かっこいい乙和くんが私を恋愛対象として好きになるはずがないと。


私が乙和くんを好きになることがあっても、乙和くんが私を好きになることはないだろうと


ずっとずっと、そう思ってた。









「今日さ、まだお礼買ってなくて」

現国のノートを乙和くんから返してもらった時、ふと、彼がそんな事を言ってきた。
いつもいつも、私にお菓子やジュースなどをお礼をくれる。


「いいよ?いつも貰ってるのに」

「いや、それはする」

「でも、ほんとに…」

「あの、だから、帰り、買いに行かない?」

「え?」

「放課後、一緒にコンビニ行って、肉まん半分こはどうですか?」


そういった乙和くんの頬は、少しだけ赤くなっているように見えた。

もちろん、私は断らなかった。

だって誘われて、私が1番嬉しいと思っているから。


それはまるでデートみたいだった。外の世界で、隣に乙和くんがいる事が、信じられなく。
ドキドキしながらコンビニに向かう。

けれどもそのコンビニでもう季節が過ぎたからか肉まんは置いていなく。かわりにアイスを半分こ出来るものを乙和くんが買って、それを2人で半分こした。


「今日…、どうして誘ったの?」


コンビニの駐車場で、アイスを食べながらそれを聞いた。


「んー…、バイトも休みで。勇心たちも用事あってヒマだったし」


そう言った乙和くんの横顔はかっこいい…。


「そっか…」

「って言うのはウソで、」


乙和くんが、私の方をむく。


「え?」

「俺がはると遊びたかったから」


遊びたかったから?
私と?


「そのへんぶらぶらしてから、はるを家まで送って」


ぶらぶらしてから?

私を家まで送って?


「その後に、はるに〝付き合わない?〟って聞くつもり」



私に…?

え?

付き合わない…?


「もしふられたら、慰めてくれる?」


甘く、そんな雰囲気を出す彼に、心が爆発しそうで。「はるって、…わたしのこと?」と聞いてみた。