────…就寝前、コンタクトから眼鏡に変えた。元々、私が目が悪い。
だからこの目が見えなくなると思ったら、本当に怖くなった。
乙和くんはずっとずっと、この見えなくなっていくという恐怖と隣り合わせで生きていかなければならない。


その日の夜、乙和くんが言っていた病気を詳しく調べた。乙和くんの言う通り、〝視野が狭くなる病気〟で指定難病にされていた。




4000-8000人に1人

全国に3万人

50パーセントで遺伝でする

日本人の遺伝子に多い

夜盲

視野狭窄

個人差がある進行性

最終的には失明してしまう




進行性だから、軽度の人は死ぬまで変わらない人もいる。重度の人は40歳ほどで失明してしまうらしく…。


指定難病だからか、どのサイトを見ても進行を遅らせることはできるが、治療法は無いと書かれていた。




重度の人は40歳…
でもこれは、ネットの中の知識。
もっともっと重度ならば、1年後には見えなくなってしまうかもしれないから…。



泣きそうなのをこらえ、す…っと息を吸った。



一日目からこんなのじゃだめだ……。



乙和くんが、ずっとずっと、笑顔で過ごせるように……。


次の日、学校の中。
私と乙和くんが一緒にいるところを見て、クラスメイトたちが「より戻ったの?」と聞いてきたり、コソッと喋ったりしていて。

「そうだよ」と返事をする乙和くんは笑っていた。







多分、乙和くんから話を聞いたらしい小山くんが「乙和を頼むな、俺も協力するから」と私に話しかけてきたのは乙和くんがトイレに行ってここにいない休み時間だった。



友達想いの小山くん…。



〝いずれ見えなくなる〟という気持ちを抱えている恋人……。



そんな小山くんに、私が考えた乙和くんを笑わせることを〝相談〟したのは、乙和くんとの関係も順調にすぎていった冬休み前のこと。



私の相談に、顔を縦に動かしてくれた小山くんは、「晃にも相談してみる」と、笑顔で応じてくれた。