瑞歯別皇子が受け取り場の方へ向かって行っていると、1人の娘がこちらに歩いて来ていた。
「あれは……佐由良!」
佐由良は向こうから走って来る人が瑞歯別皇子だと分かると驚いた。
(瑞歯別皇子、どうしたんだろう?)
とりあえず皇子がこっちに向かって来ているので、1度その場で彼女は足を止めた。
そして彼は佐由良の前まで来ると、彼女を思わず抱きしめた。
(えー、瑞歯別皇子!!)
佐由良には皇子にいきなり抱きしめられて、何が何だかさっぱり分からない。
「皇子、一体どうしたんですか?」
(瑞歯別皇子のこの必死さから見て、何かあったのかしら?)
「佐由良、無事で良かった……」
瑞歯別皇子は、彼女が無事だった事を無事確認し、心底良かったと思った。
(お前は誘拐されていなかった)
瑞歯別皇子はそれから一旦佐由良を離した。そして息を「ぜーはー」しながら言った。
「お前が受け取り場まで行ってると聞いて」
「あぁ、今日届く食料ですね。それが私別の仕事が入って、今日は伊久売が代わりに見に行きました」
(何?伊久売が)
確かに今日は、元々佐由良が受け取り場に荷物を確認しに行く予定になっていた。だがどうしても急な仕事が入ってしまい、困っていた所に丁度伊久売が通りかかった。
それで事情を説明した所、伊久売が代わりを買って出てくれていたのだ。
「皇子一体何があったのですか?」
この皇子の慌てようが何なのか、佐由良にはさっぱり分からなかった。
「実はその食料を運んでる奴らが、今騒ぎになっている若い娘の誘拐をしている可能がある」
佐由良は無事だったが、荷物がまだ届いていないとなると、伊久売が誘拐に巻き込まれた可能性があると皇子は思った。
「そんなまさか……」
とりあえず、今はまず現場に行って確かめるのが確実だろう。
「とにかく受け取り場に行ってみるぞ」
瑞歯別皇子と佐由良は急いで、受け取り場へと向かった。
2人が受け取り場に着くと、瑞歯別皇子は受け取り場で見張りをしている男に声を掛けた。
「おい、ここに食料を持って来たやつはおるか?」
「瑞歯別皇子!今丁度皇子にお伝えしようと思ってた所でした」
その男はそう話すと、先ほど起った事を説明し始めた。
「実は今日は荷物が多いので、ちょっと離れた所で確認して欲しいと言われまして。それで采女の女が行ったんですが、何故か全然戻ってきません。それで心配になり、離れまで他の者が見に行ったら、その配達の者も采女の女もいなくなっていて……」
この男の子話しを聞いた皇子と佐由良は、やはり伊久売は誘拐されたと思った。
「やはり、今若い娘の誘拐しているのは、そいつらの仕業か」
「そんな、伊久売が……」
佐由良は、どうして良いか分からずただただ怯えていた。1歩間違えば自分が誘拐されていたはずだ。
すると、見張りの男が急に言い出した。
「皇子、そいつらが消えてからまだそんなに時間が立ってないので、恐らくまだこの近くにいると思われます」
「あれは……佐由良!」
佐由良は向こうから走って来る人が瑞歯別皇子だと分かると驚いた。
(瑞歯別皇子、どうしたんだろう?)
とりあえず皇子がこっちに向かって来ているので、1度その場で彼女は足を止めた。
そして彼は佐由良の前まで来ると、彼女を思わず抱きしめた。
(えー、瑞歯別皇子!!)
佐由良には皇子にいきなり抱きしめられて、何が何だかさっぱり分からない。
「皇子、一体どうしたんですか?」
(瑞歯別皇子のこの必死さから見て、何かあったのかしら?)
「佐由良、無事で良かった……」
瑞歯別皇子は、彼女が無事だった事を無事確認し、心底良かったと思った。
(お前は誘拐されていなかった)
瑞歯別皇子はそれから一旦佐由良を離した。そして息を「ぜーはー」しながら言った。
「お前が受け取り場まで行ってると聞いて」
「あぁ、今日届く食料ですね。それが私別の仕事が入って、今日は伊久売が代わりに見に行きました」
(何?伊久売が)
確かに今日は、元々佐由良が受け取り場に荷物を確認しに行く予定になっていた。だがどうしても急な仕事が入ってしまい、困っていた所に丁度伊久売が通りかかった。
それで事情を説明した所、伊久売が代わりを買って出てくれていたのだ。
「皇子一体何があったのですか?」
この皇子の慌てようが何なのか、佐由良にはさっぱり分からなかった。
「実はその食料を運んでる奴らが、今騒ぎになっている若い娘の誘拐をしている可能がある」
佐由良は無事だったが、荷物がまだ届いていないとなると、伊久売が誘拐に巻き込まれた可能性があると皇子は思った。
「そんなまさか……」
とりあえず、今はまず現場に行って確かめるのが確実だろう。
「とにかく受け取り場に行ってみるぞ」
瑞歯別皇子と佐由良は急いで、受け取り場へと向かった。
2人が受け取り場に着くと、瑞歯別皇子は受け取り場で見張りをしている男に声を掛けた。
「おい、ここに食料を持って来たやつはおるか?」
「瑞歯別皇子!今丁度皇子にお伝えしようと思ってた所でした」
その男はそう話すと、先ほど起った事を説明し始めた。
「実は今日は荷物が多いので、ちょっと離れた所で確認して欲しいと言われまして。それで采女の女が行ったんですが、何故か全然戻ってきません。それで心配になり、離れまで他の者が見に行ったら、その配達の者も采女の女もいなくなっていて……」
この男の子話しを聞いた皇子と佐由良は、やはり伊久売は誘拐されたと思った。
「やはり、今若い娘の誘拐しているのは、そいつらの仕業か」
「そんな、伊久売が……」
佐由良は、どうして良いか分からずただただ怯えていた。1歩間違えば自分が誘拐されていたはずだ。
すると、見張りの男が急に言い出した。
「皇子、そいつらが消えてからまだそんなに時間が立ってないので、恐らくまだこの近くにいると思われます」