何この温度差、おかしくない?

 ティーゼが真剣に悩み出した時、手紙の清書を終えたルイが、顔を上げてにっこりと微笑んだ。

「ルチアーノは女性に人気があるよ。気配りも出来るし、こう見えて複数愛を持たない上級魔族種だから、たくさんの求婚希望書が城に届くんだ。だから、マーガリー嬢に関しては色々と助言をもらっているんだよ」

 ルイは疑わない目でそう言ったが、ティーゼとしては、ルイが相談相手を間違えているとしか思えなかった。恋の台詞一つで十の嫌味を語れるルチアーノほど、女性の敵はいないと思うのだ。

 とはいえ、ティーゼは言葉を胸の内に留めて「そうですか」とだけ相槌を打った。ルイもようやく手紙を完成させた事だし、退出してもいい頃合いだろう、と前向きに考える事にする。


「無事に手紙は仕上がったことですし、私はこれで――」
「うん、次はどうやって手渡せばいいのかを一緒に考えようか」


 ルイが、満面の笑顔で言い放った。手渡す事を想像すると緊張で心臓がどうにかなってしまいそうで、どうしたら一番自然な流れで渡せるだろうか、と爽やかな微笑みで悩みを語る。