「怯える必要はありませんよ。彼らは、精霊には友好的な種族ですから」
「そうなんですか?」
「そうですね、馬鹿なあなたでも理解できるよう、『竜種は精霊を決して傷つけない』と言っておきましょう」
「だから、一言多いです」
思わず睨み上げると、ルチアーノが笑うような吐息をもらした。それは、どことなく親愛的で友好さも窺えたが、彼はすぐに冷静な横顔を見せて歩き出してしまう。一瞬の事だったので、ティーゼは、目の錯覚だろうかと不思議に思った。
それぞれが単身で飛竜に飛び乗り、ティーゼは、手綱を握ったクラバートに引き上げられて彼の前に座った。飛竜が身を起こした時、その高さにティーゼは「びょッ」と妙な声が出てしまい、ルチアーノから呆れたような視線を寄越された。
クラバートの号令と共に、飛竜が一斉に空へと飛び立った。
耳許で煩くなる風の向こうから、ルイの楽しそうな笑い声が聞こえた気がしたが、ティーゼは「うぎゃあッ」という自分の色気もない悲鳴の方を強く聞いていた。
「そうなんですか?」
「そうですね、馬鹿なあなたでも理解できるよう、『竜種は精霊を決して傷つけない』と言っておきましょう」
「だから、一言多いです」
思わず睨み上げると、ルチアーノが笑うような吐息をもらした。それは、どことなく親愛的で友好さも窺えたが、彼はすぐに冷静な横顔を見せて歩き出してしまう。一瞬の事だったので、ティーゼは、目の錯覚だろうかと不思議に思った。
それぞれが単身で飛竜に飛び乗り、ティーゼは、手綱を握ったクラバートに引き上げられて彼の前に座った。飛竜が身を起こした時、その高さにティーゼは「びょッ」と妙な声が出てしまい、ルチアーノから呆れたような視線を寄越された。
クラバートの号令と共に、飛竜が一斉に空へと飛び立った。
耳許で煩くなる風の向こうから、ルイの楽しそうな笑い声が聞こえた気がしたが、ティーゼは「うぎゃあッ」という自分の色気もない悲鳴の方を強く聞いていた。