複雑な表情をするティーゼに、クラバートも複雑そうな引き攣った笑みで「大丈夫、怖い事は何もありませんから」と、自身に言い聞かせるようにそう呟いた。

              ※※※

「またお会いしましたね」
「思いきり見下さないでくれませんか、ルチアーノさん」

 昨日、少しは良い奴かもしれないと思っていたティーゼは、ルチアーノに再会してすぐ、その感想を撤回した。出迎えたルチアーノは、やはり意地悪そうな冷ややかな表情で、開口一番淡々とそう告げたのだ。

 それに比べて、ルイはとても友好的だった。ティーゼを見るなり、「会えて嬉しいよ」と心愛を込めてにっこりと微笑み、彼を忌々しげに睨みつけていたマーガリー嬢も、こちらに気付くと「待っていたわ」と目を穏やかに細めた。

 この二人最高過ぎる。もう、どこかの冷徹野郎とは大違いだ。

 ティーゼは、うっかり感動した。よくは分からないが、マーガリー嬢に好感を抱かれているらしい事についても嬉しく思う。むしろ、同性の可愛い子と美人は大歓迎だ。