「ええ……。なかなか現状は変わらないです」

「そう……」

淋しげな舞子ちゃんの声。

現状が変わっていないということは、よくもなっていないが悪化もしていないということだろう。そして、ドナーも……。

「今度、真紅ちゃんとお見舞いに行くわね」

「是非そうしてください。海雨ちゃん喜びますよ」

にっこり笑顔のお隣さんに、おやすみと挨拶をしてまた独りの家に帰るために歩いた。

――本当は一緒に暮らしたい。

大すきな、宝物みたいな娘だもの……。

そんな真紅ちゃんが、泣くほど逢いたがっている人がいるのね……。

「それを奪っていくには、相応の輩(やから)でないと納得いかないわね!」