るうちゃんが傍にいてくれる――ママにはるうちゃんは、黒い小鳥にしか見えないそうだ――からか、嫌な気配を感じたりはしない。

ただ、現状では視えることだけが続行している。

部屋にはカーテンがかけられていて外は見えないし、私のすぐ傍には丸くなったるうちゃんがいるから、部屋の中には何もいない。

けど、明日に――もう今日か――の朝陽に窓を開ければ、昨日視えていたものと同じものが視えるのだろう。

私はそれを、当然だと感じている。

人間ではないモノが居ても違和感はないし、否定しようとも思わない。

否定する理由がない。だってそれは居るのだから。

「なんてゆうか、今まで気づかなかったのが申し訳ない感じ」

そこに、確かに居たのに。私は気づかなかった。私の意識が、認識していなかった。

恐怖はなかった。ただ、私をじっと見てくる妖異たち。その姿に最初は驚いたけど、怖いとは思わなかった。

ママは、そっと私の肩を抱き寄せた。

「……いつか、真紅ちゃんの旦那様が見たいわ。私とも仲良くしてくれたら嬉しいわね」

「………うん」

叶うなら、あの人がそう在ってくれたら。

ママの肩に、額を押し付けた。