シャルロッテはメイドに促され、玄関につけていた馬車に乗り込む。
 彼女が乗ったことを確認すると、メイドは乱暴に閉めて御者に合図をした。

「うわっ!」

 馬車が動き出したと同時にシャルロッテは態勢を崩し、窓に頭をぶつける。
 ぶつけた箇所をさすりながら、ようやく席に着いた。

「これが馬車というものなのね、気をつけないと危ないわ」

 こうして、馬車はまっすぐにアイヒベルク公爵家へとむかった。