シャルロッテとエルヴィンはヴェーデル伯爵邸から帰ってきて、エルヴィンの自室にいた。

「ごめんね、嫌な思いをさせただろう」
「いいえ、私は平気です」
「失望したんじゃないか? 『冷血公爵』の暴虐ぶりに」
「何を言ってるんですか、私は尊敬しましたよ。だって、国を支える立派なお仕事なんですから。国民のため、みんなのために悪役になるあなたはかっこいいです」

 そういうシャルロッテをエルヴィンはたまらず抱きしめる。

「本当に……本当に君が妻で良かった」
「それは私のセリフです。あなたが夫で、傍にいてくれてほんとうによかった」

 二人は強くお互いを求めるように抱きしめる。
 そのぬくもりが心地よいシャルロッテは、勇気を出してエルヴィンに告げた。

「エルヴィン様」
「なんだい?」


「私を妻にしてくださいませ」

「──っ!」