シャルロッテのいなくなった執務室では、家族がけたけたと笑っていた。

「やりましたわね! お父様、お母様!!」
「ああ、ようやくあの忌々しいやつをこの家から追い出せたぞ」
「それにしても嫁ぎ先のお方のことを何も教えないなんて、ずいぶん可哀そうなことをするわね~」
「エミーリアも思ったわ! だって、嫁ぎ先ってあの『冷血公爵』なんでしょ?! 何されるかわかんなくて、エミーリアこわ~い」

 エミーリアが母親の腕に掴まって、わざとらしく大げさなリアクションをする。

「まあ、これでうちは安泰だ! アハハハ!!!」

 廊下に聞こえるほど家族の大きな笑い声が響き渡っていた──