「なぜですか! 私たちは被害者なのですよ?!」
「被害者、そのように思えますが、本当の被害者はあなたたちではなく領民のみなさんですよ」
「──っ!」
「あの財産は全て、不当に領民に納めさせた税。つまり国が認めていない徴収金です。これはあなたたちのものじゃない、ここの領民のものですよ」

 ヴェーデル伯爵はそこまで調べられているとは思わず、もはや言葉を返せなくなっていた。

「さあ、最後に。エミーリア伯爵令嬢」
「──っ! はい……」
「あなたには個人的な『借り』がございます。わかっておいでですよね? 我が妻への冒涜の数々」
「ひぃっ! 許してください!! 私は父や母のように罪はおかしておりません! どうか! どうか!!」
「なっ! お前っ! 父親を見捨てるのか?!」

 その言葉を聞き、エルヴィンはそっとシャルロッテの腕を引いて自分の隣に立たせる。
 目の前には膝をつき、涙を浮かべるエミーリアがいた。