「お前は自分がしたことを理解しているのか??!!! 不貞行為だぞ? しかも向こうは聞けば公爵ではないか! それにお前が誘惑したそうだな!?」
「違うわっ! あの人が私に……っ!!」

 その自白ともいえる言葉を聞いて、ヴェーデル伯爵は大きなため息をつく。
 力なく椅子に座る伯爵は机に突っ伏す勢いでうなだれる。

「相手は公爵だ、公爵夫人を侮辱した罪は重い。うちはこれからどうなるか……」
「……謝ればなんとか」
「謝ってすむ問題かっ!!!!!」

 ヴェーデル伯爵が再び大声を出してアメリ―を叱責する。

「お前といい、エミーリアといい、なんてことをしてくれるんだ」


 ヴェーデル伯爵の力なき声は、絶望するアメリ―にもう届いていなかった──