「え、エルヴィンさま……」

 シャルロッテは恥ずかしさとこそばゆさを感じ、そして胸が苦しく呼吸が乱れた。
 そして、ようやくエルヴィンは首元から顔を離し、シャルロッテの目を見つめる。
 今度は優しい顔つきで頬をなでた。

「ごめん、どうしても耐えられなかった」
「どうかされたのですか?」

 少し目に涙をためるシャルロッテに気づき、エルヴィンは細い指先で涙をそっと拭う。

「君がクリストフに触られたのをみて、あのあと仕事が手につかなかった」

(あ……手の甲に唇をつけられたあのこと)