「こいつはクリストフ。これでもこの国の第一王子だ」
「王子様っ?!」

 シャルロッテは驚いて思わずもう一度カーテシーで挨拶をしてしまう。

「その言い方はひどいぞ、エル。従兄弟の仲じゃないか」
「従兄弟さま、ということはエルヴィン様も王族の方なのですか?」
「いや、私の父親が王の弟だったから公爵の位にいさせてもらっているだけだよ」

(なるほど。ではお二人ともやはりすごいお方)

「お前が溺愛していると聞いたからどんなご令嬢かなと思ったが、やはり可愛らしいお方だな」

 そういってクリストフはシャルロッテに近づくと、彼女の手の甲に唇をつける。

「え?」
「なっ!」

 クリストフはすくっと立ち上がると、一礼をしてシャルロッテに挨拶をした。