シャルロッテが「立派な妻」修行をはじめてすぐの頃、アイヒベルク邸にはお客が来ていた。
 自室で挨拶マナーの練習をしていたシャルロッテは、聞きなれない声を聞きつけてエルヴィンの自室前にいく。
 中からは若い男性とエルヴィンが談笑する声がして、気になったシャルロッテはドアを少し開けて覗いてみた。

「それで、お前はあの時、俺の代わりに父上に叱られてな!」
「ああ、あの時は私の人生が終わったかと思った」
「子供のすることなんだから大目に見ればいいものを」
「いや、さすがに国の文書に落書きをしたら王だって怒るぞ」

 幼い頃の話で盛り上がる二人の様子を、ドアの隙間から覗くシャルロッテ。

(なにやらめんどくさがりながらも、楽しそうなエルヴィン様。それに隣のかなり身なりのいい方どこかの貴族様でしょうか?)