「こほん」と二人の後ろから咳払いが聞こえてくる。
 二人はそっと視線をそちらに向けると、二人分のランチプレートを持ったラウラがそこにはいた。

「旦那様、奥様。仲睦まじいのはよいことですが、少々他のメイドたちには刺激が強すぎます」

 わざと「旦那様」「奥様」と呼んでみせるラウラに、二人はそれぞれリアクションをとる。

「わ、ご、ごめんなさい」
「ん~いいじゃないかちょっとくらい」

 ようやく密着させた身体を離した二人は、ラウラの持ってきたランチプレートに口をつける。

「エルヴィンさま」
「ん?」

 シャルロッテがナイフとフォークを置いてエルヴィンの目を真っすぐ見つめて言う。

「私、エルヴィン様をお支えできる強くて立派な妻となります。見ててください」


 覚悟を決めて強い目を見せるシャルロッテに、エルヴィンは優しい目と微笑みで応えた──