「おはようございます、エルヴィン様、シャルロッテ様」
「おはよう、ラウラ」
「おはようございます、ラウラさん」

 シンプルで広いダイニングの入り口で三人は挨拶をする。

「軽いランチでも作ってもらえるかな?」
「かしこまりました、すぐにご用意いたしますのでお席でお待ちくださいませ」

 そういってラウラはキッチンがあるほうへと向かって行く。
 エルヴィンとシャルロッテはいつもの自分の席につくと、珍しくシャルロッテから声をかけた。

「エルヴィン様」
「なんだい?」
「私、エルヴィン様に相応しい妻になれるようにたくさん学びたいです」
「それは昨日のお茶会が関係しているかい?」
「ええ、でも嫌な思いをしたくないからじゃなくて、立派な妻となれるように前向きに努力をしたいのです」

 その言葉を聞いて目を見開くエルヴィンは、さっと自分の席を立つと椅子に座るシャルロッテを後ろから優しく抱きしめた。

「エルヴィンさまっ?!」
「なんて可愛いことを言うんだい。私は嬉しいよ。今でも立派な妻だと思っているけれど、シャルロッテがしたいならたくさん学べばいい。そのための手配や準備はいくらでもしよう」
「ありがとうございますっ!」

 シャルロッテは嬉しそうにエルヴィンに答えると、そのまま後ろを向いてエルヴィンの首に手をまわす。

「──っ!」

 エルヴィンはシャルロッテのその純真でまっすぐな感情表現に胸を打たれ、さらに強く抱きしめる。
 彼の中で一生懸命にがんばるシャルロッテの姿が眩しく映り、そして何より愛しく思えた。

「エルヴィンさま」
「なんだい?」
「ちょっと力が強いです……」
「ごめんごめん、でもシャルロッテが可愛すぎるのがいけないよ」
「そ、そんなことは……」