馬車は山林を抜けて2時間ほどかけてアドルフ伯爵邸の玄関にたどり着いた。

「ごめんなさい、ここで少し待っていていただけますか?」
「かしこまりました」

 シャルロッテは御者に待つようにお願いをすると、アドルフ伯爵邸の玄関へと走る。
 すると、玄関の前には身なりの整った壮年の執事が一人立っていた。
 執事はシャルロッテの格好を見て少し怪訝そうな表情を浮かべながら、彼女に要件を問う。

「いらっしゃいませ、当家に何か御用でしょうか?」
「あの、アドルフ伯爵邸で開かれるお茶会への参加でまいりました」

 そういって届いた招待状を執事に手渡した。
 中身を確認して招待状を確認すると、「どうぞ、お茶会はこちらになります」と言って案内する。