朝食を終えたシャルロッテはエルヴィンに連れられて、昨日シャルロッテが眠った部屋に入る。
 昨日は緊張と疲れで部屋の様子を見る余裕までなかったが、今日は落ち着いて部屋の中を観察することができた。

(ふかふかのベッド?も驚いたけれど、お部屋にたくさん綺麗なものがある)

 爽やかなミントグリーンを基調にした壁に、お花の画や風景画がかけられている。
 窓際には小さめのテーブルに椅子が二つ。
 絨毯は高級感のある赤色に模様があり、部屋の隅には暖炉もある。
 シャルロッテが部屋のあれこれを不思議そうに観察する傍で、柔らかな表情と声色でエルヴィンは告げた。

「このお部屋を好きに使ってくれて構わないよ。シャルロッテのお部屋だから」
「あ、はいっ! え……このような大きくて素敵なお部屋、私が使ってよいのですか?」
「ああ、部屋もシャルロッテに使ってもらって喜ぶと思うんだ。使ってくれるかい?」
「わ、私でよければ……あの、エルヴィン様のお部屋はちゃんとありますか?」

 自分の待遇があまりにも実家と違いすぎて、シャルロッテは思わず彼の部屋の心配をしてしまう。
 エルヴィンは少し虚を突かれたように目を開くと、すぐに笑顔になりシャルロッテの頬を優しくなでる。

「私の心配をしてくれるんだね。優しいね、シャルロッテは。大丈夫だよ、私の部屋はちゃんとあるから。この廊下を出た突き当りにあるからいつでもおいで」

 その言葉を聞いてほっとしたシャルロッテは、「部屋の中を見てもいいですか?」と伺って歩き回る。