(私のことを気遣ってくださっている、こんなに嬉しいこと今までなかった)
メイドと言葉を交わすエルヴィンを見ながら、彼女はそう実感していた。
やがて、朝食の準備が整ったようで、シャルロッテはエルヴィンに呼ばれる。
「こちらにおいでシャルロッテ」
「あ、はい!」
「どうぞ」
そう言ってシャルロッテが座る場所の椅子を自ら引いて座るように促すエルヴィン。
シャルロッテはこうした経験がなくまわりをきょろきょろしてしまいながらも、優しく見守るメイドたちにも促されて椅子に座る。
(お食事ってこんなに立派なの?)
シャルロッテの前にはグリーンサラダや野菜のスープ、バケットに入ったパンに果物のジュースがあった。
だが、テーブルマナーを知らないシャルロッテはどうやって食べていいのかわからない。
すると、エルヴィンがその様子を見てそっと彼女の後ろに立った。
「──っ!」
「いいかい? カトラリーは外側にあるものから使うんだ。スプーンを持ったことはあるかい?」
「……ごめんなさい」
シャルロッテは今まで器に口をつけてスープを飲んでいたため、スプーンの存在すら知らなかった。
それでもエルヴィンは怒ったり、笑ったりせずに「ゆっくりでいいから」とシャルロッテに告げる。
「まず今日はテーブルにあるものを好きに食べてごらん。マナーはあとから覚えればいい。まず美味しいものをたくさん召し上がれ」
「……はい」
恐る恐るテーブルに手を運び、スープをいつものようにゆっくりすする。
パンはそのまま食べるのではなく、これもスープに入れて食べあげる。
やがて先にスープだけがなくなり、食べ方のわからないサラダが残った。
エルヴィンは自分の席でお手本を見せるようにサラダを食べる様子をシャルロッテに見せる。
(この器具を使って刺して食べるのね)
器を持ち上げてフォークを右手に持つと、ゆっくりとサラダを食べ始める。
(こんなに新鮮で美味しいのね、野菜って)
美味しいサラダを夢中で食べているうちに、エルヴィンが席から立ちシャルロッテに再び近づく。
すると、そのままシャルロッテの頬を触り、唇の横についていた野菜くずをそっと取り上げると、ぺろっとそれを自分で食べる。
「──っ! 公爵様!!」
「可愛らしくつけていたのでついね。あと、私のことは公爵様ではなく『エルヴィン』と呼んでほしい」
「エルヴィン、さま?」
「なんだい?」
優しい微笑みを向けられたシャルロッテは顔を赤くして俯いてしまう。
恥ずかしさを紛らわせるようにスカートの裾を握り締める。
「まあ、徐々に慣れていってほしい。今日は結婚して最初の朝食を二人で食べたかったんだ、一緒に食べてくれてありがとう」
「…………私もです。え、エルヴィン様」
そういうとエルヴィンは嬉しそうに笑ってシャルロッテの頭をなでた──
メイドと言葉を交わすエルヴィンを見ながら、彼女はそう実感していた。
やがて、朝食の準備が整ったようで、シャルロッテはエルヴィンに呼ばれる。
「こちらにおいでシャルロッテ」
「あ、はい!」
「どうぞ」
そう言ってシャルロッテが座る場所の椅子を自ら引いて座るように促すエルヴィン。
シャルロッテはこうした経験がなくまわりをきょろきょろしてしまいながらも、優しく見守るメイドたちにも促されて椅子に座る。
(お食事ってこんなに立派なの?)
シャルロッテの前にはグリーンサラダや野菜のスープ、バケットに入ったパンに果物のジュースがあった。
だが、テーブルマナーを知らないシャルロッテはどうやって食べていいのかわからない。
すると、エルヴィンがその様子を見てそっと彼女の後ろに立った。
「──っ!」
「いいかい? カトラリーは外側にあるものから使うんだ。スプーンを持ったことはあるかい?」
「……ごめんなさい」
シャルロッテは今まで器に口をつけてスープを飲んでいたため、スプーンの存在すら知らなかった。
それでもエルヴィンは怒ったり、笑ったりせずに「ゆっくりでいいから」とシャルロッテに告げる。
「まず今日はテーブルにあるものを好きに食べてごらん。マナーはあとから覚えればいい。まず美味しいものをたくさん召し上がれ」
「……はい」
恐る恐るテーブルに手を運び、スープをいつものようにゆっくりすする。
パンはそのまま食べるのではなく、これもスープに入れて食べあげる。
やがて先にスープだけがなくなり、食べ方のわからないサラダが残った。
エルヴィンは自分の席でお手本を見せるようにサラダを食べる様子をシャルロッテに見せる。
(この器具を使って刺して食べるのね)
器を持ち上げてフォークを右手に持つと、ゆっくりとサラダを食べ始める。
(こんなに新鮮で美味しいのね、野菜って)
美味しいサラダを夢中で食べているうちに、エルヴィンが席から立ちシャルロッテに再び近づく。
すると、そのままシャルロッテの頬を触り、唇の横についていた野菜くずをそっと取り上げると、ぺろっとそれを自分で食べる。
「──っ! 公爵様!!」
「可愛らしくつけていたのでついね。あと、私のことは公爵様ではなく『エルヴィン』と呼んでほしい」
「エルヴィン、さま?」
「なんだい?」
優しい微笑みを向けられたシャルロッテは顔を赤くして俯いてしまう。
恥ずかしさを紛らわせるようにスカートの裾を握り締める。
「まあ、徐々に慣れていってほしい。今日は結婚して最初の朝食を二人で食べたかったんだ、一緒に食べてくれてありがとう」
「…………私もです。え、エルヴィン様」
そういうとエルヴィンは嬉しそうに笑ってシャルロッテの頭をなでた──