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帰り支度をしている時、弁護士の道忠から連絡を貰った父、清隆は、慌てて家に帰った。

『おい、晶子、美咲、美月と忍葉に電話しまくった挙句、病院まで押しかけて行ったそうだな。お陰で…

『そんなのあのまま黙ってられますか‼︎貴方があそこであんなものにサインするから悪いんです。』

『何を言っているんだ

『それよりも貴方、病院に貴方の両親と、
あの人たち名前なんて言うんだったかしら、
忍葉を養女にしたいって言ってきた夫婦、えっと…さん、さん、さんし?

『あっ、さえぐさだよ。忍葉を病院に運んだ夫妻、三枝夫妻って言って無かったか?

さんしって言うのは呼び名で、旅館の奴らはみんな紗代子を、さんしちゃんって、呼んでたけど、三つの枝って書いて、三枝って読むんだった。忘れていた。』

『えっ‼︎どういうことよ。あの夫婦が、忍葉を病院に連れて行ったの?
まさか、ずっと会ってたんじゃないでしょうね。』

『嫌、それは無いだろう。忍葉だって小さかったんだ覚えていないだろう。』

『でも、忍葉が入院してる桜坂総合病院にいたわよ。貴方の両親と一緒に。明らかに見舞いに来た感じだったわよ。』

『どういうことだ?』

『わからないから聞いているんじゃない。貴方、知らないの?』

『それは後で、親父に聞いてみる。それより、美咲と一緒に、病院に行ったり、電話したせいで、道忠って奴がまた、家に来るって…。お前たちは、何て

それまで、スマホをずっと睨みつけていた美咲が血相を変えて父親に詰め寄って
『お父さん、あの人来るって本当‼︎いつ、いつ来るの?』
と訊く。

『お前たちは、俺の話を

『そんなこといいから、いつよ。いつ来るの?』

『…今からだ。もうすぐ着くんじゃないか?』

『今から、良かった。ねぇ、お母さん、あの人に、翔に会わせてって頼んだら会わせてくれないかな?』

『何言ってるの。あんな人に…、

『だってお母さん、美月も、お姉ちゃんも、花姫会も、翔も、繋がらないんだよ。

あの人以外もう居ないじゃない。

ねぇ、美月とお姉ちゃんにもう関わらないって約束するから、翔に会わせてって頼むから、協力してお母さん。ね、いいでしよ。翔に会えさえすれば、絶対、元通りになるから。ね、お願い。』

『…そうね。今は仕方ないわね。』

『貴方も美咲に協力してあげて。』

『お前たちは、何を言っているんだ。元はと言えば、お前たちが

『それはそうとお父さん、早く、電話して。』

『はっ‼︎何処にだ?』

『何を言ってるんですか?貴方の両親にですよ。さっき確認するって言ってたじゃないですか?』

『あ〜、まあ、そうだけど、話しを、

『いいから早く聞いて下さい。』

『あー、もう。』

清孝は仕方なくスマホを取り出し電話をかける。

『あっ、親父、今日、忍葉の見舞いに行ったか?』

『10年振りに電話して来てそんなことか?
お前は、俺たちと縁を切ったんじゃないのか?そんなことで掛けて来るんじゃない。』

と怒鳴られて電話が切れた。

『何て言ってたの?』

『縁を切ったのに掛けてくるな。』
って切られたよ。

『何よそれ。じゃ三枝夫妻に掛けてみてよ。』

『はっ‼︎あいつらの連絡先なんか知らないよ。』

『えっ。なんでよ。じゃ、どうするのよこれから、あの人たち、私たちの子を取る気じゃないの?』

『まさか、そんな今更、養子にしたって。』

『何言っているんですか。忍葉が花姫なわけないけど、対外的には、花姫、それも神獣人トップの花姫ですよ。養子にでもされたらどうするんですか?』

ピンポンと家のチャイムが鳴った。

『来た。』
と言って美咲が玄関に駆けて行った。