『ゲッゲッゲッ、エルフの姫を回収したらあの村も襲うぞ』
『バドーガン様なら簡単に侵略できますぜ』
魔王軍は撤退するような様子はない。
村を目指して進んでくる。
ということで、こちらの戦力を確認するわけだが……。
「村には一歩たりとも入れさせないぞ!」
「せっかく、生き神様とここまで発展させたんだ!」
「私たちの土地は自分たちで守りましょう!」
領民たちは各々装備を身に着けている。
<ゴーレムの金剛剣>に<魔法対無敵鎧>を着けていたら、もはや近接攻撃は無敵だろう。
遠距離攻撃も<大賢者の杖・量産タイプ>、<ポータブル式バリスタ・試作タイプ>がたくさんあるから問題なさそうだ。
空を飛んでいる敵も、<自動飛行のからくり馬車>に乗っていれば十分に倒せそうだな。
「さーって、久しぶりの超魔法じゃ! 何を使おうかの~! <エンシェント・ビックバン>か<エンシェント・メテオシューター>か……くうう、使いたい魔法がありすぎじゃ! 迷うの~!」
ソロモンさんはここぞとばかりに、魔力を練りに練っている。
周りの空間が歪むほどだ。
「ユチ様、私めが全ての敵を倒してまいります。さすれば、このクソ暗殺者は用無しということでよろしいですね?」
「なに~、用無しになるのはお前の方だぞ~」
恐ろしく強い元Sランク冒険者のルージュと、最強の暗殺者〔ジェットブラック〕。
互いに討伐した敵の数で勝負する取り決めを交わしていた。
『ユチ様、私の準備も完了いたしました。お望みとあれば、全ての敵を駆逐いたします』
コユチも大人の姿になって戦闘態勢だ。
口の端からコオオオ……と不思議な魔力が漏れ出ている。
「ユチ様! ユチ・キャッスルの準備は出来ておりますよ! いつでも攻撃開始できます!」
後ろの方でアタマリたちが叫んだ。
村の上空には空飛ぶ城が浮かんでいる。
――…………魔王軍大丈夫か?
あまりの戦力差に、思わず敵の心配をしてしまった。
「それでは、ユチ様。攻撃の合図をお願いいたします」
「え、いや、ちょっ」
ルージュにぐいぐい押され、あっという間に村の先頭に来てしまった。
みんな、ワクワクした様子で俺の合図を待っている。
「じゃ、じゃあ、攻撃開始」
なんか、半裸で宣言してもいまいち締まらないな。
「「いくぞ! 我らがデサーレチを守るんだ!」」
と思ったら、領民たちがいっせいに攻撃を始めた。
一部の隙もないほどに降り注ぐバリスタの矢。
炎や水、土や風などの多種多様な属性の魔法攻撃。
もはや重歩兵となった村人たちの突進。
『な、なんだ、こいつら、つよっ……ぐあああ!』
『どうして攻撃が効かないんだ! それどころか、剣がヤバ……がっはああ!』
『気を付けろ! 空からは矢が降っ……! うわあああ!』
いや、物理も魔法もワンチャンSランク冒険者並みじゃないのか?
「よし、決めたですじゃ! <エンシェント・プラズマ>!」
『『ぼぎゃあああ!』』
ソロモンさんの杖から、バチバチと白い雷が放たれる。
モンスターを次々と黒焦げにしていく。
敵がどんなに速く逃げようとしても、光の速さでどこまでも追いかける。
ソロモンさんはスッキリした表情だった。
「48、49、50……」
「我も負けるつもりはないぞ! ……47、48、49!」
『『と、とんでもない二人組がいるぞ! 逃げろ逃げろ逃げ……ぎゃああああ!』』
別の一角では、ルージュとクデレが縦横無尽に暴れまくっていた。
傍らにはモンスターの素材が山積みになっているので、討伐しつつ分解しているのだろう。
こんな芸当ができるヤツは魔王軍にもいないと思う。
『<エンシェント・ブルーフレイム>!』
『『な、なんで伝説の古龍がこんなところに! ……ぐええええ!』』
コユチの放った火球が魔王軍を業火に包む。
どんなに強力な身体でもおかまいなしだ。
容赦なく燃やし尽くしている。
「ユチ・キャッスルよ! 村を襲う不届き者たちに神の鉄槌を下すんだ!」
アタマリが叫んだ瞬間、例のギイイン! といういびつな音が響く。
城に描かれている俺の顔(半目のヤツ)から、眩い光線が放たれた。
それにしても、この音にはなかなか慣れないぞ。
『『ギィエエエエ!』』
光線の当たったところが吹っ飛んだ。
というか、地面もモンスターも溶けていた。
ものすごい高温のビームだったんだなぁ。
バドーガンとかいうトロールを除いて、一瞬で魔王軍は消滅した。
『…………は?』
バドーガンはポカンとしている。
『す、少しはやるようじゃねえか! だ、だがなぁ、俺はそこら辺のザコとは違うぜ! さ、さあ、エルフの姫を渡してもらおうか! つ、ついでに、お前らの村を俺の城にしてやるぞ!』
やけくそに突っ込んできた。
重装備のくせに結構足が速い。
「さあ、ユチ様。最後の一体をお願いいたします」
「あっ、貴様ずるいぞ! あいつを倒せば我の討伐数がお前と同じに……むぐっ!」
ルージュはクデレを羽交い締めにしている。
「ユ、ユチ様、またあの恐ろしい敵が来ました!」
姫様も怖いんだろう、俺の後ろに隠れちゃった。
何はともあれ、さっさと終わらせるか。
ルージュもピキピキしてるしな。
「<全自動サンクチュアリ>発動!」
ヴヴン! といつもの音がして、聖域が展開された。
この前と同じように、遠隔操作する。
ズズズとバドーガンの真下に移動した。
『こ、これは、なんだ……ぐうううう!』
バドーガンの勢いは消え去り、苦しそうに呻いている。
「「おお! 生き神様の御業には魔王軍すら耐えられないのだ!」」
さらに魔力を込める。
『ギギギギギ……キャアアアアアア』
『ぐあああああ!』
瘴気が消えると同時に、バドーガンも消えちまった。
どうやら、瘴気と同じ存在だったようだ。
「「やったー! 魔王軍を撃退したぞー! これも生き神様のご加護のおかげだー!」」
わあああっと村は盛り上がる。
「ユチ様、魔王軍をこんなに圧倒したのはあなた様が初めてです! ユチ様こそ、魔王を倒すべき神が遣わした救世主なのです!」
「あ、あのっ、ちょ!」
ガバッと姫様が抱き着いてきた。
俺は半裸なので、張りがありつつもきめ細かい触感を直に感じる。
こ、この絵面はまずいって。
その様子を見て、周りのみんながはやし立てる。
「生き神様は本当にモテますの~! ワシの若い頃にそっくりじゃよ。そうそう、あれはワシがまだ少女の頃で……」
「ユチ様の魅力はエルフをも魅了してしまうのですねぇ。私もユチ様の魅力をさらに引き立てる装備を造ります」
「……さて、ユチ様もお忙しいので引き剥がさせていただきますね」
「え? ま、待ってください。もう少しだけ、あ~れ~」
というわけで、魔王軍も無事に撃退できた。
『バドーガン様なら簡単に侵略できますぜ』
魔王軍は撤退するような様子はない。
村を目指して進んでくる。
ということで、こちらの戦力を確認するわけだが……。
「村には一歩たりとも入れさせないぞ!」
「せっかく、生き神様とここまで発展させたんだ!」
「私たちの土地は自分たちで守りましょう!」
領民たちは各々装備を身に着けている。
<ゴーレムの金剛剣>に<魔法対無敵鎧>を着けていたら、もはや近接攻撃は無敵だろう。
遠距離攻撃も<大賢者の杖・量産タイプ>、<ポータブル式バリスタ・試作タイプ>がたくさんあるから問題なさそうだ。
空を飛んでいる敵も、<自動飛行のからくり馬車>に乗っていれば十分に倒せそうだな。
「さーって、久しぶりの超魔法じゃ! 何を使おうかの~! <エンシェント・ビックバン>か<エンシェント・メテオシューター>か……くうう、使いたい魔法がありすぎじゃ! 迷うの~!」
ソロモンさんはここぞとばかりに、魔力を練りに練っている。
周りの空間が歪むほどだ。
「ユチ様、私めが全ての敵を倒してまいります。さすれば、このクソ暗殺者は用無しということでよろしいですね?」
「なに~、用無しになるのはお前の方だぞ~」
恐ろしく強い元Sランク冒険者のルージュと、最強の暗殺者〔ジェットブラック〕。
互いに討伐した敵の数で勝負する取り決めを交わしていた。
『ユチ様、私の準備も完了いたしました。お望みとあれば、全ての敵を駆逐いたします』
コユチも大人の姿になって戦闘態勢だ。
口の端からコオオオ……と不思議な魔力が漏れ出ている。
「ユチ様! ユチ・キャッスルの準備は出来ておりますよ! いつでも攻撃開始できます!」
後ろの方でアタマリたちが叫んだ。
村の上空には空飛ぶ城が浮かんでいる。
――…………魔王軍大丈夫か?
あまりの戦力差に、思わず敵の心配をしてしまった。
「それでは、ユチ様。攻撃の合図をお願いいたします」
「え、いや、ちょっ」
ルージュにぐいぐい押され、あっという間に村の先頭に来てしまった。
みんな、ワクワクした様子で俺の合図を待っている。
「じゃ、じゃあ、攻撃開始」
なんか、半裸で宣言してもいまいち締まらないな。
「「いくぞ! 我らがデサーレチを守るんだ!」」
と思ったら、領民たちがいっせいに攻撃を始めた。
一部の隙もないほどに降り注ぐバリスタの矢。
炎や水、土や風などの多種多様な属性の魔法攻撃。
もはや重歩兵となった村人たちの突進。
『な、なんだ、こいつら、つよっ……ぐあああ!』
『どうして攻撃が効かないんだ! それどころか、剣がヤバ……がっはああ!』
『気を付けろ! 空からは矢が降っ……! うわあああ!』
いや、物理も魔法もワンチャンSランク冒険者並みじゃないのか?
「よし、決めたですじゃ! <エンシェント・プラズマ>!」
『『ぼぎゃあああ!』』
ソロモンさんの杖から、バチバチと白い雷が放たれる。
モンスターを次々と黒焦げにしていく。
敵がどんなに速く逃げようとしても、光の速さでどこまでも追いかける。
ソロモンさんはスッキリした表情だった。
「48、49、50……」
「我も負けるつもりはないぞ! ……47、48、49!」
『『と、とんでもない二人組がいるぞ! 逃げろ逃げろ逃げ……ぎゃああああ!』』
別の一角では、ルージュとクデレが縦横無尽に暴れまくっていた。
傍らにはモンスターの素材が山積みになっているので、討伐しつつ分解しているのだろう。
こんな芸当ができるヤツは魔王軍にもいないと思う。
『<エンシェント・ブルーフレイム>!』
『『な、なんで伝説の古龍がこんなところに! ……ぐええええ!』』
コユチの放った火球が魔王軍を業火に包む。
どんなに強力な身体でもおかまいなしだ。
容赦なく燃やし尽くしている。
「ユチ・キャッスルよ! 村を襲う不届き者たちに神の鉄槌を下すんだ!」
アタマリが叫んだ瞬間、例のギイイン! といういびつな音が響く。
城に描かれている俺の顔(半目のヤツ)から、眩い光線が放たれた。
それにしても、この音にはなかなか慣れないぞ。
『『ギィエエエエ!』』
光線の当たったところが吹っ飛んだ。
というか、地面もモンスターも溶けていた。
ものすごい高温のビームだったんだなぁ。
バドーガンとかいうトロールを除いて、一瞬で魔王軍は消滅した。
『…………は?』
バドーガンはポカンとしている。
『す、少しはやるようじゃねえか! だ、だがなぁ、俺はそこら辺のザコとは違うぜ! さ、さあ、エルフの姫を渡してもらおうか! つ、ついでに、お前らの村を俺の城にしてやるぞ!』
やけくそに突っ込んできた。
重装備のくせに結構足が速い。
「さあ、ユチ様。最後の一体をお願いいたします」
「あっ、貴様ずるいぞ! あいつを倒せば我の討伐数がお前と同じに……むぐっ!」
ルージュはクデレを羽交い締めにしている。
「ユ、ユチ様、またあの恐ろしい敵が来ました!」
姫様も怖いんだろう、俺の後ろに隠れちゃった。
何はともあれ、さっさと終わらせるか。
ルージュもピキピキしてるしな。
「<全自動サンクチュアリ>発動!」
ヴヴン! といつもの音がして、聖域が展開された。
この前と同じように、遠隔操作する。
ズズズとバドーガンの真下に移動した。
『こ、これは、なんだ……ぐうううう!』
バドーガンの勢いは消え去り、苦しそうに呻いている。
「「おお! 生き神様の御業には魔王軍すら耐えられないのだ!」」
さらに魔力を込める。
『ギギギギギ……キャアアアアアア』
『ぐあああああ!』
瘴気が消えると同時に、バドーガンも消えちまった。
どうやら、瘴気と同じ存在だったようだ。
「「やったー! 魔王軍を撃退したぞー! これも生き神様のご加護のおかげだー!」」
わあああっと村は盛り上がる。
「ユチ様、魔王軍をこんなに圧倒したのはあなた様が初めてです! ユチ様こそ、魔王を倒すべき神が遣わした救世主なのです!」
「あ、あのっ、ちょ!」
ガバッと姫様が抱き着いてきた。
俺は半裸なので、張りがありつつもきめ細かい触感を直に感じる。
こ、この絵面はまずいって。
その様子を見て、周りのみんながはやし立てる。
「生き神様は本当にモテますの~! ワシの若い頃にそっくりじゃよ。そうそう、あれはワシがまだ少女の頃で……」
「ユチ様の魅力はエルフをも魅了してしまうのですねぇ。私もユチ様の魅力をさらに引き立てる装備を造ります」
「……さて、ユチ様もお忙しいので引き剥がさせていただきますね」
「え? ま、待ってください。もう少しだけ、あ~れ~」
というわけで、魔王軍も無事に撃退できた。