「貴様ぁ~、さっさとナデナデせんか~。何度も言っているだろうが~」
「う、うん、だからね、そういうことは言わないでって……」
「さて、あなたの人生は今日で終わりでしたね」
「た、頼むから短剣はしまってくれ~い!」
すっかりルージュとクデレの板挟みになってしまった。
あと、相変わらず半裸にさせられているのだが、いつになったら服を着られるのだ?
「生き神様! ちょっと来てくだされ!」
「空を飛ぶ城の試作品ができました!」
バーン! と扉が開かれ、ソロモンさんとアタマリが入ってきた。
二人は興奮して俺を呼ぶ。
なんかもう、ドアとかない方が良い気がしてくる。
「そ、空を飛ぶ城……ができたんですか?」
いきなり言われビックリした。
「そうですじゃ! もう最高の出来ですじゃよ! さあ、生き神様も早く見てくだされ!」
「あっ、ちょっ、待っ」
有無を言わさず引きずられる。
これもいつもの展開なんだが、微かな不安がよぎった。
――また俺の顔が描いてあるんじゃ……。
すぐに頭を振って追い払う。
いやいやいや、さすがにないだろ。
そもそも、城は装備じゃないんだ。
そんな大掛かりに俺をアピールしないだろう。
「生き神様! これが空を飛ぶ城・ユチキャッスルじゃ!」
「このような城は、私めも初めて見ました」
「なかなか良いではないか~」
村の奥の方に、小さな城がふわふわと浮かんでいた。
浮かぶと言っても、空高くではなくて地面よりちょっと高いところだ。
手を伸ばすと届くくらいだな。
「おお~本当に浮いてますね……って、できればその名前は変えてほし……」
「ユチキャッスルとは素晴らしい名前ですね! 私めもそれ以外は考えられません!」
わかってはいたが、ルージュの叫び声でかき消される。
ぱああっ! と本当に嬉しそうな顔をしているので諦めた。
<空を飛ぶ城ユチキャッスル・試作タイプ>
レア度:★11
文字通り空を飛べる城。試作タイプなのでまだ小型。非常に高度な設計により製作された。デサーレチで採取された素材が存分に使われており、動力の補給は完全に不要。武器類はまだ一種類しかないが、ユチの魔力を供給することで古の結界を展開し外部からの攻撃は完全に遮断できる。
これはすごい。
まさかこんな物が生きているうちに見られるなんてなぁ。
みんなでしきりに感心していた。
だが、一つだけ確認したいことがあった。
「あ、あの、ちょっと良いですかね?」
「なんですじゃ? 生き神様の意見も聞きたいですじゃ」
「ユチ様のためならどんな仕様も用意いたしますよ!」
みんな、ワクワクした感じで俺を見る。
「俺の顔が描いてあるんですが……」
空を飛ぶ城の外壁には、等間隔に俺の顔が描いてある。
絵というか、刻印みたいな感じだ。
真顔、笑っている顔、あくびしている顔、半目を開けて寝ている顔……色んな表情が刻まれていた。
やけにリアルで俺がそのまま外壁に埋まっているみたいだ。
「元のデザインは、全て私めが用意いたしました」
「そ、そう……やっぱり」
ルージュはとても誇らしげな顔をしている。
今回は仕方がないとして、完全版を作るときは直してもらおう。
「「た、大変だ! あれはモンスターの群れじゃないか!?」」
突然、村の入り口付近が騒がしくなった。
領民たちが慌ただしく行き来している。
「どうしたんだろう。モンスターの群れとか言っていたな」
「行ってみましょう、ユチ様」
「ユチは我と一緒にいるから、お前が一人で行ってこい」
「……この物の処遇は後で決めることにします。今は状況の把握が先ですから」
「だから、服を着させてくれ~い!」
村の入り口へ行くと、すぐに状況がわかった。
荒れ地にモンスターが集結している。
ゆっくり村へと向かっているみたいだった。
領民たちは急いで装備を身に着けていた。
「なんかたくさんモンスターがいるな。こっちに来てるぞ」
「デサーレチは豊かになったので、モンスターたちも襲う気になったのかもしれません」
「なるほど……」
ここら一帯ではこの村だけ異常に栄えている。
旨い食べ物もいっぱいあるので、モンスターが襲うのも不思議ではない。
「生き神様! 今こそ、ユチ・キャッスルの出番じゃよ!」
「あとはユチ様に魔力を込めてもらうだけでいいんです! さあさあ!」
何か答える前に、ソロモンさんとアタマリに無理矢理連れてこられてしまった。
「こ、こうかな?」
城の外壁に手を当て魔力を込める。
その瞬間、グォングォングォン……と城が上昇しだした。
「「やったー! これでユチ・キャッスルは完成だ(じゃ)ー!」」
ソロモンさんとアタマリは手を取り合って喜ぶ。
「あの、戦いの準備はしなくて良いんですかね?」
「「まぁ、見ていてください(ですじゃ)」」
領民たちも手を止め城の行方を見る。
やがて城の上昇は止まった。
と思ったら、ギィィン! と金属が削れるような音がして、刻印の目からビームが放たれた。
一直線に荒れ地のモンスターへ向かっていく。
「なんだよ、ビックリしたな……って、うわぁ!」
その直後、ビームが当たったところが爆発した。
大きく地面が抉れている。
その周りにはモンスターの破片が散らばっていた。
モンスターたちはブルブル震えている。
「あ、あの~、今のはなんですかね」
俺はそっとソロモンさんとアタマリに聞く。
「今のはユチ・ビームでございますじゃ。古の超魔法と同じくらい……いや、それ以上のパワーがありますじゃよ」
「<永原石>と<ウィザーオール魔石>の組み合わせは、思ったより相性が良かったようでして! ユチ様に魔力を注入してもらっただけで、とんでもない魔法が放たれるようになったんです!」
二人はドンッ! と胸を張っている。
いや、ちょっとオーバーキル過ぎる気もするが。
『『キイイイイ!』』
モンスターの残りは我先にと走って逃げてしまった。
勝ち目など無いと判断したんだろう。
「みんな見たか!? 生き神様の目から神聖な光が放たれたぞ!」
「誰も怪我せずにモンスターを撃退できた! これも生き神様のおかげだな!」
「わああ! 生き神様がいれば安心だー!」
村は歓喜の声で包まれる。
「さすがはユチ様でございますね。私めは感動することしかできません」
「貴様~、そんな力を隠していたのか~。ずるいではないか~」
「ユチ様から離れなさい。このクソ暗殺者」
「ほ、ほら、喧嘩しないで……」
何はともあれ、領民たちが無事で良かったぞ。
――――――――――――――――
【生き神様の領地のまとめ】
◆空飛ぶ城“ユチ・キャッスル試作タイプ”
ユチの顔が刻印(うっすら光る)された空飛ぶ城の試作タイプ。
試作型だが、全世界で初めて空飛ぶ城の建造に成功した。
魔力を凝縮した光線を放つことで、類まれなる攻撃力を持つ。
ユチ由来の結界により防御力も世界最高峰。
古代文明の復活は近い。
「う、うん、だからね、そういうことは言わないでって……」
「さて、あなたの人生は今日で終わりでしたね」
「た、頼むから短剣はしまってくれ~い!」
すっかりルージュとクデレの板挟みになってしまった。
あと、相変わらず半裸にさせられているのだが、いつになったら服を着られるのだ?
「生き神様! ちょっと来てくだされ!」
「空を飛ぶ城の試作品ができました!」
バーン! と扉が開かれ、ソロモンさんとアタマリが入ってきた。
二人は興奮して俺を呼ぶ。
なんかもう、ドアとかない方が良い気がしてくる。
「そ、空を飛ぶ城……ができたんですか?」
いきなり言われビックリした。
「そうですじゃ! もう最高の出来ですじゃよ! さあ、生き神様も早く見てくだされ!」
「あっ、ちょっ、待っ」
有無を言わさず引きずられる。
これもいつもの展開なんだが、微かな不安がよぎった。
――また俺の顔が描いてあるんじゃ……。
すぐに頭を振って追い払う。
いやいやいや、さすがにないだろ。
そもそも、城は装備じゃないんだ。
そんな大掛かりに俺をアピールしないだろう。
「生き神様! これが空を飛ぶ城・ユチキャッスルじゃ!」
「このような城は、私めも初めて見ました」
「なかなか良いではないか~」
村の奥の方に、小さな城がふわふわと浮かんでいた。
浮かぶと言っても、空高くではなくて地面よりちょっと高いところだ。
手を伸ばすと届くくらいだな。
「おお~本当に浮いてますね……って、できればその名前は変えてほし……」
「ユチキャッスルとは素晴らしい名前ですね! 私めもそれ以外は考えられません!」
わかってはいたが、ルージュの叫び声でかき消される。
ぱああっ! と本当に嬉しそうな顔をしているので諦めた。
<空を飛ぶ城ユチキャッスル・試作タイプ>
レア度:★11
文字通り空を飛べる城。試作タイプなのでまだ小型。非常に高度な設計により製作された。デサーレチで採取された素材が存分に使われており、動力の補給は完全に不要。武器類はまだ一種類しかないが、ユチの魔力を供給することで古の結界を展開し外部からの攻撃は完全に遮断できる。
これはすごい。
まさかこんな物が生きているうちに見られるなんてなぁ。
みんなでしきりに感心していた。
だが、一つだけ確認したいことがあった。
「あ、あの、ちょっと良いですかね?」
「なんですじゃ? 生き神様の意見も聞きたいですじゃ」
「ユチ様のためならどんな仕様も用意いたしますよ!」
みんな、ワクワクした感じで俺を見る。
「俺の顔が描いてあるんですが……」
空を飛ぶ城の外壁には、等間隔に俺の顔が描いてある。
絵というか、刻印みたいな感じだ。
真顔、笑っている顔、あくびしている顔、半目を開けて寝ている顔……色んな表情が刻まれていた。
やけにリアルで俺がそのまま外壁に埋まっているみたいだ。
「元のデザインは、全て私めが用意いたしました」
「そ、そう……やっぱり」
ルージュはとても誇らしげな顔をしている。
今回は仕方がないとして、完全版を作るときは直してもらおう。
「「た、大変だ! あれはモンスターの群れじゃないか!?」」
突然、村の入り口付近が騒がしくなった。
領民たちが慌ただしく行き来している。
「どうしたんだろう。モンスターの群れとか言っていたな」
「行ってみましょう、ユチ様」
「ユチは我と一緒にいるから、お前が一人で行ってこい」
「……この物の処遇は後で決めることにします。今は状況の把握が先ですから」
「だから、服を着させてくれ~い!」
村の入り口へ行くと、すぐに状況がわかった。
荒れ地にモンスターが集結している。
ゆっくり村へと向かっているみたいだった。
領民たちは急いで装備を身に着けていた。
「なんかたくさんモンスターがいるな。こっちに来てるぞ」
「デサーレチは豊かになったので、モンスターたちも襲う気になったのかもしれません」
「なるほど……」
ここら一帯ではこの村だけ異常に栄えている。
旨い食べ物もいっぱいあるので、モンスターが襲うのも不思議ではない。
「生き神様! 今こそ、ユチ・キャッスルの出番じゃよ!」
「あとはユチ様に魔力を込めてもらうだけでいいんです! さあさあ!」
何か答える前に、ソロモンさんとアタマリに無理矢理連れてこられてしまった。
「こ、こうかな?」
城の外壁に手を当て魔力を込める。
その瞬間、グォングォングォン……と城が上昇しだした。
「「やったー! これでユチ・キャッスルは完成だ(じゃ)ー!」」
ソロモンさんとアタマリは手を取り合って喜ぶ。
「あの、戦いの準備はしなくて良いんですかね?」
「「まぁ、見ていてください(ですじゃ)」」
領民たちも手を止め城の行方を見る。
やがて城の上昇は止まった。
と思ったら、ギィィン! と金属が削れるような音がして、刻印の目からビームが放たれた。
一直線に荒れ地のモンスターへ向かっていく。
「なんだよ、ビックリしたな……って、うわぁ!」
その直後、ビームが当たったところが爆発した。
大きく地面が抉れている。
その周りにはモンスターの破片が散らばっていた。
モンスターたちはブルブル震えている。
「あ、あの~、今のはなんですかね」
俺はそっとソロモンさんとアタマリに聞く。
「今のはユチ・ビームでございますじゃ。古の超魔法と同じくらい……いや、それ以上のパワーがありますじゃよ」
「<永原石>と<ウィザーオール魔石>の組み合わせは、思ったより相性が良かったようでして! ユチ様に魔力を注入してもらっただけで、とんでもない魔法が放たれるようになったんです!」
二人はドンッ! と胸を張っている。
いや、ちょっとオーバーキル過ぎる気もするが。
『『キイイイイ!』』
モンスターの残りは我先にと走って逃げてしまった。
勝ち目など無いと判断したんだろう。
「みんな見たか!? 生き神様の目から神聖な光が放たれたぞ!」
「誰も怪我せずにモンスターを撃退できた! これも生き神様のおかげだな!」
「わああ! 生き神様がいれば安心だー!」
村は歓喜の声で包まれる。
「さすがはユチ様でございますね。私めは感動することしかできません」
「貴様~、そんな力を隠していたのか~。ずるいではないか~」
「ユチ様から離れなさい。このクソ暗殺者」
「ほ、ほら、喧嘩しないで……」
何はともあれ、領民たちが無事で良かったぞ。
――――――――――――――――
【生き神様の領地のまとめ】
◆空飛ぶ城“ユチ・キャッスル試作タイプ”
ユチの顔が刻印(うっすら光る)された空飛ぶ城の試作タイプ。
試作型だが、全世界で初めて空飛ぶ城の建造に成功した。
魔力を凝縮した光線を放つことで、類まれなる攻撃力を持つ。
ユチ由来の結界により防御力も世界最高峰。
古代文明の復活は近い。