村の中を視察(主にフィギュアの配置をチェックさせられている)で歩いているときだった。
「おい、貴様ぁ~もっとナデナデしろぉ~」
「わ、わかったから少し離れようね」
相変わらず、裸で過ごさられているわけだが、〔ジェットブラック〕は人目を盗んで俺にくっついてくるようになった。
暗殺者の影も形もなく、ふにゃふにゃしていた。
だが、それをルージュが見逃すはずもない。
ズダダダダ! っとどこからか走ってきた。
すごい勢いで〔ジェットブラック〕を引き剥がす。
「何をするのだ~今良いところなのにぃ~」
「働かない者はここにいる資格はございません」
ルージュは凍てつくような瞳で〔ジェットブラック〕を見ていた。
ピキピキしまくっている。
「そんなに硬いことを言うなよ~我が悲しくなるだろうが~」
「さて、すぐに分解の準備を始めましょう」
「ほ、ほら、〔ジェットブラック〕にも事情があるだろうからさ」
俺が言った瞬間、ルージュが固まった。
「……ユチ様はやはりその者の味方をするのですね」
「そ、そうじゃなくてね」
「わかったわかった~素材を採ってくればいいんだろ~」
〔ジェットブラック〕はよっこいしょと立ち上がる。
そのまま、荒れ地の方に歩き出した。
「あれ? どこ行くの?」
「……ユチ様はあの者と離れるのがイヤだと?」
「そ、そうじゃなくてね。単純に疑問に思ったというか何というか……」
「荒れ地のモンスターを狩って、適当に素材を集めてくるのだ~」
瘴気の影響なのか、荒れ地のモンスターは結構強いヤツらが揃っている。
一人で討伐に行くなんて無茶だ。
「いくら手練れの暗殺者でも一人で行くのは危ないんじゃないの? 念のため、ルージュに付いて行ってもらったら……」
「……ユチ様は必ずあの者の味方をなさいますね」
「あ、いや、そうではなくて……単純に心配になったというか……」
どう転んでもルージュの機嫌が悪くなってしまうのだが。
そんなやり取りをしているうちに、〔ジェットブラック〕は荒れ地まで行ってしまった。
「あっ、行っちゃった」
「どうぞ天国まで行ってきてくださいませ。戻って来なくて良いですからね」
「ほら、そういうこと言うと可哀想だから」
「……またユチ様はあの者の味方をするのですね」
「そ、そうじゃないのよね……」
必死にルージュをなだめていると、すぐに〔ジェットブラック〕が帰ってきた。
両手にどっさりと素材を抱えている。
「え、もう帰ってきたの? はや」
「素材集めなんて何年振りかと思ったぞ~」
「ふむ、私めの目は誤魔化せませんよ。少しでもいい加減な素材があったら追い出しますからね」
〔ジェットブラック〕が持ってきた素材は、とんでもないレア物ばかりだった。
<ギガントタイガーの爪>
レア度:★8
Aランクモンスター、ギガントタイガーの爪。加工なしで武器として扱えるほど鋭い。ギガントタイガーは必ず3匹以上の群れで行動する。討伐には最大限の注意が必要。
<マグマダケ>
レア度:★7
火山などの灼熱地帯に生息するキノコ。独特な辛みがあり、「まるでマグマを食べているみたいだ」と世界中の美食家から好まれている。その入手難易度の高さから世界的に供給が足りていない。
<アンバー蜂の大結晶>
レア度:★8
アンバー蜂とは集めた蜜を宝石のように凝縮できる蜂。その巣にある大きな結晶。琥珀のような柔らかい色合いだが、宝石類より希少性が著しく高い。この結晶のネックレスを着けていると、どんな恋も成就すると言い伝えがある。
<ダークユニコーンの一本角>
レア度:★9
Sランクモンスター、ダークユニコーンの額に生えている長い角。細かく砕き煎じて飲むと、一定期間モンスターから認識されなくなる。戦闘クエストでも採取クエストでも汎用性が高い。
<マイアズムドラゴンの眼玉>
レア度:★10
瘴気を喰らう古龍マイアズムドラゴンの眼球が、宝石のように凝固した物。マイアズムドラゴンは瘴気まみれだが、弱点となる逆鱗を一撃で破壊した時だけ眼球が透明な宝石となる。世界でも数少ない最高級の宝物。
「す、すげえ素材の山だな。しかも、モンスターの部位だけじゃなくてキノコとかもあるし」
さすがは名の知れた暗殺者だ。
モンスターの討伐だけじゃなく、採取方面も得意らしい。
「どうだ~恐れ入ったか~? ほれほれ、悔しいだろう」
「ぐっ……」
ルージュは厳しい顔で〔ジェットブラック〕を睨む。
「さて、お邪魔虫はいなくなってもらうとして、貴様は我の相手をしろ~」
「あ、いや、そういうわけには……」
〔ジェットブラック〕はベタベタしまくってくるので、ルージュもピキりまくっている。
ど、どうすればいい。
「やはり、人形より本物の方が良いではないか~」
スリスリ俺の体を撫でまわしてくる。
「離れなさい。このクソ暗殺者が」
「何をする~邪魔するなぁ~」
ルージュがべりっと引き剥がす。
これもまたお馴染みの光景になりつつあった。
「と、ところで、〔ジェットブラック〕には本名とかあるのか?」
漆黒の暗殺者〔ジェットブラック〕は呼び名だよな。
いや、名前を捨ててる可能性もありそうだ。
「あるに決まってるだろ~」
「へ、へぇ~、なんて名前?」
「我の名前はクデレだっつ~の~」
「ふ、ふ~ん、クデレね」
こんなナリでも本当は暗殺者なんだなぁ。
父親が依頼したってマジか。
どこまで嫌われているんだ。
というか、彼らは生きてるのか?
瘴気があんなに集まっていたら、王様たちも黙ってはいない気がするが。
まぁ、さすがにもう嫌がらせはしてこないだろ、さすがにね。
「おい、貴様ぁ~もっとナデナデしろぉ~」
「わ、わかったから少し離れようね」
相変わらず、裸で過ごさられているわけだが、〔ジェットブラック〕は人目を盗んで俺にくっついてくるようになった。
暗殺者の影も形もなく、ふにゃふにゃしていた。
だが、それをルージュが見逃すはずもない。
ズダダダダ! っとどこからか走ってきた。
すごい勢いで〔ジェットブラック〕を引き剥がす。
「何をするのだ~今良いところなのにぃ~」
「働かない者はここにいる資格はございません」
ルージュは凍てつくような瞳で〔ジェットブラック〕を見ていた。
ピキピキしまくっている。
「そんなに硬いことを言うなよ~我が悲しくなるだろうが~」
「さて、すぐに分解の準備を始めましょう」
「ほ、ほら、〔ジェットブラック〕にも事情があるだろうからさ」
俺が言った瞬間、ルージュが固まった。
「……ユチ様はやはりその者の味方をするのですね」
「そ、そうじゃなくてね」
「わかったわかった~素材を採ってくればいいんだろ~」
〔ジェットブラック〕はよっこいしょと立ち上がる。
そのまま、荒れ地の方に歩き出した。
「あれ? どこ行くの?」
「……ユチ様はあの者と離れるのがイヤだと?」
「そ、そうじゃなくてね。単純に疑問に思ったというか何というか……」
「荒れ地のモンスターを狩って、適当に素材を集めてくるのだ~」
瘴気の影響なのか、荒れ地のモンスターは結構強いヤツらが揃っている。
一人で討伐に行くなんて無茶だ。
「いくら手練れの暗殺者でも一人で行くのは危ないんじゃないの? 念のため、ルージュに付いて行ってもらったら……」
「……ユチ様は必ずあの者の味方をなさいますね」
「あ、いや、そうではなくて……単純に心配になったというか……」
どう転んでもルージュの機嫌が悪くなってしまうのだが。
そんなやり取りをしているうちに、〔ジェットブラック〕は荒れ地まで行ってしまった。
「あっ、行っちゃった」
「どうぞ天国まで行ってきてくださいませ。戻って来なくて良いですからね」
「ほら、そういうこと言うと可哀想だから」
「……またユチ様はあの者の味方をするのですね」
「そ、そうじゃないのよね……」
必死にルージュをなだめていると、すぐに〔ジェットブラック〕が帰ってきた。
両手にどっさりと素材を抱えている。
「え、もう帰ってきたの? はや」
「素材集めなんて何年振りかと思ったぞ~」
「ふむ、私めの目は誤魔化せませんよ。少しでもいい加減な素材があったら追い出しますからね」
〔ジェットブラック〕が持ってきた素材は、とんでもないレア物ばかりだった。
<ギガントタイガーの爪>
レア度:★8
Aランクモンスター、ギガントタイガーの爪。加工なしで武器として扱えるほど鋭い。ギガントタイガーは必ず3匹以上の群れで行動する。討伐には最大限の注意が必要。
<マグマダケ>
レア度:★7
火山などの灼熱地帯に生息するキノコ。独特な辛みがあり、「まるでマグマを食べているみたいだ」と世界中の美食家から好まれている。その入手難易度の高さから世界的に供給が足りていない。
<アンバー蜂の大結晶>
レア度:★8
アンバー蜂とは集めた蜜を宝石のように凝縮できる蜂。その巣にある大きな結晶。琥珀のような柔らかい色合いだが、宝石類より希少性が著しく高い。この結晶のネックレスを着けていると、どんな恋も成就すると言い伝えがある。
<ダークユニコーンの一本角>
レア度:★9
Sランクモンスター、ダークユニコーンの額に生えている長い角。細かく砕き煎じて飲むと、一定期間モンスターから認識されなくなる。戦闘クエストでも採取クエストでも汎用性が高い。
<マイアズムドラゴンの眼玉>
レア度:★10
瘴気を喰らう古龍マイアズムドラゴンの眼球が、宝石のように凝固した物。マイアズムドラゴンは瘴気まみれだが、弱点となる逆鱗を一撃で破壊した時だけ眼球が透明な宝石となる。世界でも数少ない最高級の宝物。
「す、すげえ素材の山だな。しかも、モンスターの部位だけじゃなくてキノコとかもあるし」
さすがは名の知れた暗殺者だ。
モンスターの討伐だけじゃなく、採取方面も得意らしい。
「どうだ~恐れ入ったか~? ほれほれ、悔しいだろう」
「ぐっ……」
ルージュは厳しい顔で〔ジェットブラック〕を睨む。
「さて、お邪魔虫はいなくなってもらうとして、貴様は我の相手をしろ~」
「あ、いや、そういうわけには……」
〔ジェットブラック〕はベタベタしまくってくるので、ルージュもピキりまくっている。
ど、どうすればいい。
「やはり、人形より本物の方が良いではないか~」
スリスリ俺の体を撫でまわしてくる。
「離れなさい。このクソ暗殺者が」
「何をする~邪魔するなぁ~」
ルージュがべりっと引き剥がす。
これもまたお馴染みの光景になりつつあった。
「と、ところで、〔ジェットブラック〕には本名とかあるのか?」
漆黒の暗殺者〔ジェットブラック〕は呼び名だよな。
いや、名前を捨ててる可能性もありそうだ。
「あるに決まってるだろ~」
「へ、へぇ~、なんて名前?」
「我の名前はクデレだっつ~の~」
「ふ、ふ~ん、クデレね」
こんなナリでも本当は暗殺者なんだなぁ。
父親が依頼したってマジか。
どこまで嫌われているんだ。
というか、彼らは生きてるのか?
瘴気があんなに集まっていたら、王様たちも黙ってはいない気がするが。
まぁ、さすがにもう嫌がらせはしてこないだろ、さすがにね。