「さっ、ユチ様! 次は剣を構えるポーズでお願いします!」
「あ、あの、もう疲れたんですけど……」
「何をおっしゃいますか。まだまだこれからでございますよ」
その日は珍しくマッサージをされていなかった。
だが、半裸だ。
ルージュがしきりに俺の体をスケッチしている。
何でも、フィギュア製作の設計図なんだそうだ。
結局、カッコいい衣装などは微塵もなく、俺の半裸フィギュアが作られることになってしまった。
「な、なぁ、やっぱりフィギュアは止めようよ。誰も俺の人形なんか欲しくないって。ましてや裸のなんてさ……」
「いいえ、私めは200体ほどいただきたく存じます」
フィギュア所望の数が著しく増えていた。
ルージュは嬉々としてスケッチを進めていく。
チラッと見えたが、とんでもなく上手かった。
まるで俺がそのまま紙に入っているかのようだ。
ということは、非常に精工なフィギュアが出来てしまうということだ。
「せめて、もう少しデフォルメした感じにしようよ。俺だとわからないくらいに……」
「お断りいたします」
わかってはいたが、ピシリと断られてしまった。
そういえば、アタマリたちは量産するとか言っていたよな。
つまり、村中に俺の分身的な小型フィギュア(半裸)が置かれかねない。
ま、まずいぞ、何とかしなければ……。
また偉い人が来たときにどう説明すればいいのだ。
王女様とか来たらさすがにヤバい。
まぁ、絶対に来ないだろうけど。
「ユチ様! 失礼いたします!」
「うわぁっ!」
突然、アタマリたちが入ってきた。
「ど、どうしたのかな?」
「村の素材の加工を鍛錬したく、様々な装備品をお造りいたしました! ぜひ、見ていただけませんか!?」
「装備品を造ったの?」
「はい! ユチ様のフィギュアをお造りするまでに、少しでも鍛冶能力を高めておきたかったのです!」
アタマリたちの目は、見たこともないほど光り輝いている。
今さら止めることなど不可能だった。
「いや、ほら、そんな気合い入れてくれなくていいからね……」
「では、さっそく俺たちについてきてください!」
このままだと、また裸で連れ出される。
「わ、わかった! 服を着るから、ちょっと待ってくれ!」
「私めのスケッチは終わっておりませんので、そのままでいてくださいませ。装備品をチェックしながらスケッチを続けさせていただきます」
「か、勘弁してくれ~!」
裸のまま連れて行かれると、村の真ん中に装備品が山積みになっていた。
「こ、これ……全部、アタマリたちが造ったの?」
「はい! 全身全霊で造らせていただきました!」
俺たちの目の前には、恐ろしいほどまでに強いアイテムが置かれていた。
「ワシも少~しだけアドバイスしたじゃよ~」
「うおおおっ、ソロモンさん!」
いつの間にか、ソロモンさんが俺の後ろに立っていた。
びっくりしたなぁ、もう。
それにしても、この装備たちはすごいぞ。
<ゴーレムの金剛剣>
レア度:★10
<ゴーレムダイヤモンド>から製造された剣。同レベルの素材から造られた装備でないと受け止めることすらできない。
<魔法対無敵鎧>
レア度:★9
<リフレクティング・マジカルシェル>と<プラチナ砂金>が混ぜられている鎧。シェルと砂金の破片は、鎧の中で流動性を持つ。自動的に魔法の反射と無効化を行う。物理的な耐久力も超一級品。
<大賢者の杖・量産タイプ>
レア度:★8
伝説の大賢者ソロモンが使用する杖を参考に製作された。<ウィザーオール魔石>が含まれている。魔力が少ない者でも、この杖を装備することで大賢者の8割ほどの力を出せる。
<ポータブル式バリスタ・試作タイプ>
レア度:★7
個人での使用と持ち運びが可能とされたバリスタ。弾性力を増幅する魔法が込められている。僅かな力でも地面を大きく抉るほどの射出力を誇る。
<自動飛行のからくり馬車>
レア度:★9
<フローフライト鉄鉱石>から造られた浮遊できる馬車。<永原石>も使われているので、動力の補給は半永久的に不要。これを元に、空を飛ぶ城の設計が進められている。
「す、すげえ……どれもこれも、王国騎士団のレベルを遥かに超えているぞ」
「これだけ武器や防具があれば、敵襲があっても問題ないと考えられます」
さすがは、元Aランク盗賊団といったところか。
アタマリたちの鍛冶スキルは王国でもトップクラスかもしれないな。
シンプルな装備が多いので、領民たちでも扱いやすそうだ。
だがしかし……。
「俺の顔が描いてあるのだが……」
剣にも鎧にも、全ての装備品に俺の顔が刻印されている。
「はっ! むしろ、そこに一番こだわりました!」
おまけに、刻印はうっすらと光っている。
きっと、これもまた特殊な技術が込められているのだろう。
もはや、俺にはどうすることもできなかった。
「そのうち、空を飛ぶ城や巨大なゴーレムなど、古代世紀の文明が復活するかもございませんね」
「ハハハ、ルージュは何を言ってるのよ。それはさすがにないって。色んなすごい人たちが失敗しまくっているのに」
古代世紀の復活なんて聞いたこともない。
文献自体はわずかながらも残っているから、それを頼りに復活を試みた人はたくさんいるらしい。
だが、失敗の嵐だ。
そもそも、必要な超激レア素材が全く手に入らないのだから。
例えゲットできても、今度はとんでもなく優秀な人材を幅広く大量に集めなけらばならない。
そんな土地がどこにあるのだ。
ルージュは何でもできる代わりに冗談が下手らしいなぁ、ハハハハハ。
――――――――――――――――
【生き神様の領地のまとめ】
◆デサーレチの装備品“ユチ・シリーズ“
村で採れた素材を元に製造された装備品。
全てレア度が★7以上という驚異のアイテム群。
共通して、ユチの顔が刻印(うっすらと光る)されている。
今後、何が増えるかはお楽しみ。
「あ、あの、もう疲れたんですけど……」
「何をおっしゃいますか。まだまだこれからでございますよ」
その日は珍しくマッサージをされていなかった。
だが、半裸だ。
ルージュがしきりに俺の体をスケッチしている。
何でも、フィギュア製作の設計図なんだそうだ。
結局、カッコいい衣装などは微塵もなく、俺の半裸フィギュアが作られることになってしまった。
「な、なぁ、やっぱりフィギュアは止めようよ。誰も俺の人形なんか欲しくないって。ましてや裸のなんてさ……」
「いいえ、私めは200体ほどいただきたく存じます」
フィギュア所望の数が著しく増えていた。
ルージュは嬉々としてスケッチを進めていく。
チラッと見えたが、とんでもなく上手かった。
まるで俺がそのまま紙に入っているかのようだ。
ということは、非常に精工なフィギュアが出来てしまうということだ。
「せめて、もう少しデフォルメした感じにしようよ。俺だとわからないくらいに……」
「お断りいたします」
わかってはいたが、ピシリと断られてしまった。
そういえば、アタマリたちは量産するとか言っていたよな。
つまり、村中に俺の分身的な小型フィギュア(半裸)が置かれかねない。
ま、まずいぞ、何とかしなければ……。
また偉い人が来たときにどう説明すればいいのだ。
王女様とか来たらさすがにヤバい。
まぁ、絶対に来ないだろうけど。
「ユチ様! 失礼いたします!」
「うわぁっ!」
突然、アタマリたちが入ってきた。
「ど、どうしたのかな?」
「村の素材の加工を鍛錬したく、様々な装備品をお造りいたしました! ぜひ、見ていただけませんか!?」
「装備品を造ったの?」
「はい! ユチ様のフィギュアをお造りするまでに、少しでも鍛冶能力を高めておきたかったのです!」
アタマリたちの目は、見たこともないほど光り輝いている。
今さら止めることなど不可能だった。
「いや、ほら、そんな気合い入れてくれなくていいからね……」
「では、さっそく俺たちについてきてください!」
このままだと、また裸で連れ出される。
「わ、わかった! 服を着るから、ちょっと待ってくれ!」
「私めのスケッチは終わっておりませんので、そのままでいてくださいませ。装備品をチェックしながらスケッチを続けさせていただきます」
「か、勘弁してくれ~!」
裸のまま連れて行かれると、村の真ん中に装備品が山積みになっていた。
「こ、これ……全部、アタマリたちが造ったの?」
「はい! 全身全霊で造らせていただきました!」
俺たちの目の前には、恐ろしいほどまでに強いアイテムが置かれていた。
「ワシも少~しだけアドバイスしたじゃよ~」
「うおおおっ、ソロモンさん!」
いつの間にか、ソロモンさんが俺の後ろに立っていた。
びっくりしたなぁ、もう。
それにしても、この装備たちはすごいぞ。
<ゴーレムの金剛剣>
レア度:★10
<ゴーレムダイヤモンド>から製造された剣。同レベルの素材から造られた装備でないと受け止めることすらできない。
<魔法対無敵鎧>
レア度:★9
<リフレクティング・マジカルシェル>と<プラチナ砂金>が混ぜられている鎧。シェルと砂金の破片は、鎧の中で流動性を持つ。自動的に魔法の反射と無効化を行う。物理的な耐久力も超一級品。
<大賢者の杖・量産タイプ>
レア度:★8
伝説の大賢者ソロモンが使用する杖を参考に製作された。<ウィザーオール魔石>が含まれている。魔力が少ない者でも、この杖を装備することで大賢者の8割ほどの力を出せる。
<ポータブル式バリスタ・試作タイプ>
レア度:★7
個人での使用と持ち運びが可能とされたバリスタ。弾性力を増幅する魔法が込められている。僅かな力でも地面を大きく抉るほどの射出力を誇る。
<自動飛行のからくり馬車>
レア度:★9
<フローフライト鉄鉱石>から造られた浮遊できる馬車。<永原石>も使われているので、動力の補給は半永久的に不要。これを元に、空を飛ぶ城の設計が進められている。
「す、すげえ……どれもこれも、王国騎士団のレベルを遥かに超えているぞ」
「これだけ武器や防具があれば、敵襲があっても問題ないと考えられます」
さすがは、元Aランク盗賊団といったところか。
アタマリたちの鍛冶スキルは王国でもトップクラスかもしれないな。
シンプルな装備が多いので、領民たちでも扱いやすそうだ。
だがしかし……。
「俺の顔が描いてあるのだが……」
剣にも鎧にも、全ての装備品に俺の顔が刻印されている。
「はっ! むしろ、そこに一番こだわりました!」
おまけに、刻印はうっすらと光っている。
きっと、これもまた特殊な技術が込められているのだろう。
もはや、俺にはどうすることもできなかった。
「そのうち、空を飛ぶ城や巨大なゴーレムなど、古代世紀の文明が復活するかもございませんね」
「ハハハ、ルージュは何を言ってるのよ。それはさすがにないって。色んなすごい人たちが失敗しまくっているのに」
古代世紀の復活なんて聞いたこともない。
文献自体はわずかながらも残っているから、それを頼りに復活を試みた人はたくさんいるらしい。
だが、失敗の嵐だ。
そもそも、必要な超激レア素材が全く手に入らないのだから。
例えゲットできても、今度はとんでもなく優秀な人材を幅広く大量に集めなけらばならない。
そんな土地がどこにあるのだ。
ルージュは何でもできる代わりに冗談が下手らしいなぁ、ハハハハハ。
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【生き神様の領地のまとめ】
◆デサーレチの装備品“ユチ・シリーズ“
村で採れた素材を元に製造された装備品。
全てレア度が★7以上という驚異のアイテム群。
共通して、ユチの顔が刻印(うっすらと光る)されている。
今後、何が増えるかはお楽しみ。