「ユチ様、力を抜いてくださいませ」
「う、うん、だからね……もうやらなくて……」
「生き神様! ちょっと来てくださいませんかの!」
ルージュにマッサージされている時、ソロモンさんが飛び込んできた。
もはや、すっかり定番の光景となってしまっている。
そのうち何とかしないとな。
「ど、どうしたんですか、ソロモンさん」
なんかやけに興奮しているぞ。
「村の特産品を作ろうということになりましての。ぜひ、生き神様の知恵を貸していただきたいのですじゃよ」
「村の特産品……ですか?」
「そうですじゃ。最近、来客が多いですからの、何かデサーレチの特産品があれば、来客も楽しめるかと思うんですじゃ」
「なるほど……」
「それは素晴らしいアイデアでございますね」
デサーレチには貴重な素材が、それはそれはたくさんある。
だが、加工した特産品的な物はまだなかった。
いつも素材をそのまんま渡していたからな。
デサーレチを象徴するようなお土産が一つでもあれば、来客だって楽しめるかもしれない。
「どうですかな、生き神様?」
「名案だと思います」
「じゃあ、さっそくこちらに来てくださいですじゃ」
「あ、あのっ、その前に服をっ!」
服を掴むすんでのところで、ルージュに捕まった。
「皆さまがお待ちでございます、ユチ様」
「服着る時間くらいはあるでしょうに……!」
ということで、半裸のまま連れて行かれる。
少し歩いたところに、こじんまりとしているが絶妙にオシャレな平屋があった。
「ここで色んな会議をしているのですじゃ」
「へぇ~良い建物ですね」
「アタマリたちも中におりますじゃ」
そのまま、中に案内される。
なんだかんだ言って、どんな特産品ができるのか俺も楽しみだった。
村が発展していくのを見るのは楽しいからな。
「お前ら、ユチ様がいらっしゃたぞ! 礼っ!」
「「よろしくお願いします!」」
「うわっ!」
部屋に入った瞬間、アタマリたちに勢い良くお辞儀された。
びっくりしたぞ。
と、そこで、ルージュが前に出てきた。
「では、私めが司会を務めさせていただきます。村の特産品につきまして、何か良いアイデアはございますか?」
デサーレチを象徴する物ってなんだろうな。
デスガーデン?
いや、それを言うなら川も鉱山もそうだし。
だとすると、ここはデスドラシエルだろう。
葉っぱを煎じて作ったお茶とか。
「ワシに良いアイデアがありますじゃ! ぜひ、聞いてくださいじゃ!」
「どうぞお話くださいませ」
さっそく、ソロモンさんが挙手をした。
きっと素晴らしいアイデアを出してくれるぞ。
何と言っても、伝説の大賢者だからな。
みんながあっと驚く提案をしてくれるはずだ。
「生き神様のフィギュアを作るんじゃよ!」
「「おおお~!」」
……おい。
「デサーレチの象徴と言えば、生き神様以外にはおりませんじゃ! 生き神様を差し置いて、他の特産品を作ることなどできませぬ!」
「ソロモン様のおっしゃる通りでございますね。ユチ様がいらっしゃってこそのデサーレチです」
「あ、あの、ちょっ待って。お、俺のフィギュアなんて欲しい人いないんじゃないですかね」
すかさず、俺は抵抗する。
こういうのは序盤が大事だ。
まごまごしていると、あっという間に決まってしまう。
「サイズは1/6スケールでどうじゃろうか!」
「よろしいかと存じます! 机の上などに飾りやすいでございますね! 私めは50体ほど所望いたします!」
部屋のボルテージは一瞬でマックスになり、俺の声など誰にも届かなかった。
アタマリも嬉しそうな顔で発言する。
「私たちが素晴らしいフィギュアをお作りいたします。ポーズも何種類か作りましょう。量産体制はこちらで整えます」
「承知いたしました。デザインは私めの方で用意いたします」
ルージュは絵も上手い。
というか、何でもできるんだよな。
「では、ユチ様のフィギュアをお作りするということでよろしいでしょうか?」
「「さんせ~い!」」
そんなことを思っている隙に、俺のフィギュア製作が決まってしまった。
し、仕方がない。
何はともあれ、ルージュなら心配いらんな。
きっと、カッコいい衣装を描いてくれるはずだ。
「フィギュア以外にも、もっと特産品が欲しいところじゃが……」
「それでしたら、私めが良い案を考えております」
ルージュがスッ……と、やけに美しい挙手をする。
その表情は晴れ晴れとしていた。
頼むから俺のシリーズは止めてくれよ。
と、言いつつ、俺は安心していた。
優秀なメイドで元Sランク冒険者だからな。
きっと、素晴らしい提案をしてくれるだろう。
「ユチ様のお顔が刻印された饅頭を作るのです!」
「「おおお~!」」
……って、おい。
「具材は畑や川で採れた物を使うとして、ユチ様のお顔の再現にこだわりたいところでございます」
「それでしたら、私たち〔アウトローの無法者〕にお任せください。最高品質の焼き型をお作りします!」
アタマリがドンッ! と胸を張っている。
すかさず、俺は抵抗した。
「で、でも、そんなにたくさん作ったらアタマリたちが大変なんじゃないの?」
「ユチ様、ご心配なく! むしろ、私たちは仕事が増えて嬉しくてたまりません!」
その顔は光り輝いている。
彼らの楽しみを奪うなどという酷いことはできなかった。
「では、これらの特産品は“ユチ・コレクション”として大々的にシリーズ展開していきましょうじゃ! もっともっと生き神様の良さを外の世界に伝えるのですじゃ!」
「「おおお~!」」
ソロモンさんの発言に、みんな揃って拍手する。
満場一致もいいところだった。
「ユチ様もよろしいでございますね!? 私めはこれ以上ないほど素晴らしい計画だと思いますが!」
「そ、そうだね……良いと思うよ……」
うん、いいよ。
みんなが楽しければ、もうそれでいいよ。
「ではさっそく、村の者たちにも知らせなければいけませんじゃ!」
「私めがお呼びいたします! 皆さま方~、お集まりくださいませ~!」
瞬く間に、領民たちが集まってくる。
結局、俺になす術は一つもなく村の特産品()作りが始まった。
――――――――――――――――
【生き神様の領地のまとめ】
◆ユチ・コレクション
デサーレチの特産品として作られる品々。
現時点で確認できるのは、ユチの1/6スケールフィギュア(半裸)、ユチ饅頭(表情違いで3種類)。
どちらもユチの再現度が非常に高い。
今後、何が増えるかはお楽しみ。
「う、うん、だからね……もうやらなくて……」
「生き神様! ちょっと来てくださいませんかの!」
ルージュにマッサージされている時、ソロモンさんが飛び込んできた。
もはや、すっかり定番の光景となってしまっている。
そのうち何とかしないとな。
「ど、どうしたんですか、ソロモンさん」
なんかやけに興奮しているぞ。
「村の特産品を作ろうということになりましての。ぜひ、生き神様の知恵を貸していただきたいのですじゃよ」
「村の特産品……ですか?」
「そうですじゃ。最近、来客が多いですからの、何かデサーレチの特産品があれば、来客も楽しめるかと思うんですじゃ」
「なるほど……」
「それは素晴らしいアイデアでございますね」
デサーレチには貴重な素材が、それはそれはたくさんある。
だが、加工した特産品的な物はまだなかった。
いつも素材をそのまんま渡していたからな。
デサーレチを象徴するようなお土産が一つでもあれば、来客だって楽しめるかもしれない。
「どうですかな、生き神様?」
「名案だと思います」
「じゃあ、さっそくこちらに来てくださいですじゃ」
「あ、あのっ、その前に服をっ!」
服を掴むすんでのところで、ルージュに捕まった。
「皆さまがお待ちでございます、ユチ様」
「服着る時間くらいはあるでしょうに……!」
ということで、半裸のまま連れて行かれる。
少し歩いたところに、こじんまりとしているが絶妙にオシャレな平屋があった。
「ここで色んな会議をしているのですじゃ」
「へぇ~良い建物ですね」
「アタマリたちも中におりますじゃ」
そのまま、中に案内される。
なんだかんだ言って、どんな特産品ができるのか俺も楽しみだった。
村が発展していくのを見るのは楽しいからな。
「お前ら、ユチ様がいらっしゃたぞ! 礼っ!」
「「よろしくお願いします!」」
「うわっ!」
部屋に入った瞬間、アタマリたちに勢い良くお辞儀された。
びっくりしたぞ。
と、そこで、ルージュが前に出てきた。
「では、私めが司会を務めさせていただきます。村の特産品につきまして、何か良いアイデアはございますか?」
デサーレチを象徴する物ってなんだろうな。
デスガーデン?
いや、それを言うなら川も鉱山もそうだし。
だとすると、ここはデスドラシエルだろう。
葉っぱを煎じて作ったお茶とか。
「ワシに良いアイデアがありますじゃ! ぜひ、聞いてくださいじゃ!」
「どうぞお話くださいませ」
さっそく、ソロモンさんが挙手をした。
きっと素晴らしいアイデアを出してくれるぞ。
何と言っても、伝説の大賢者だからな。
みんながあっと驚く提案をしてくれるはずだ。
「生き神様のフィギュアを作るんじゃよ!」
「「おおお~!」」
……おい。
「デサーレチの象徴と言えば、生き神様以外にはおりませんじゃ! 生き神様を差し置いて、他の特産品を作ることなどできませぬ!」
「ソロモン様のおっしゃる通りでございますね。ユチ様がいらっしゃってこそのデサーレチです」
「あ、あの、ちょっ待って。お、俺のフィギュアなんて欲しい人いないんじゃないですかね」
すかさず、俺は抵抗する。
こういうのは序盤が大事だ。
まごまごしていると、あっという間に決まってしまう。
「サイズは1/6スケールでどうじゃろうか!」
「よろしいかと存じます! 机の上などに飾りやすいでございますね! 私めは50体ほど所望いたします!」
部屋のボルテージは一瞬でマックスになり、俺の声など誰にも届かなかった。
アタマリも嬉しそうな顔で発言する。
「私たちが素晴らしいフィギュアをお作りいたします。ポーズも何種類か作りましょう。量産体制はこちらで整えます」
「承知いたしました。デザインは私めの方で用意いたします」
ルージュは絵も上手い。
というか、何でもできるんだよな。
「では、ユチ様のフィギュアをお作りするということでよろしいでしょうか?」
「「さんせ~い!」」
そんなことを思っている隙に、俺のフィギュア製作が決まってしまった。
し、仕方がない。
何はともあれ、ルージュなら心配いらんな。
きっと、カッコいい衣装を描いてくれるはずだ。
「フィギュア以外にも、もっと特産品が欲しいところじゃが……」
「それでしたら、私めが良い案を考えております」
ルージュがスッ……と、やけに美しい挙手をする。
その表情は晴れ晴れとしていた。
頼むから俺のシリーズは止めてくれよ。
と、言いつつ、俺は安心していた。
優秀なメイドで元Sランク冒険者だからな。
きっと、素晴らしい提案をしてくれるだろう。
「ユチ様のお顔が刻印された饅頭を作るのです!」
「「おおお~!」」
……って、おい。
「具材は畑や川で採れた物を使うとして、ユチ様のお顔の再現にこだわりたいところでございます」
「それでしたら、私たち〔アウトローの無法者〕にお任せください。最高品質の焼き型をお作りします!」
アタマリがドンッ! と胸を張っている。
すかさず、俺は抵抗した。
「で、でも、そんなにたくさん作ったらアタマリたちが大変なんじゃないの?」
「ユチ様、ご心配なく! むしろ、私たちは仕事が増えて嬉しくてたまりません!」
その顔は光り輝いている。
彼らの楽しみを奪うなどという酷いことはできなかった。
「では、これらの特産品は“ユチ・コレクション”として大々的にシリーズ展開していきましょうじゃ! もっともっと生き神様の良さを外の世界に伝えるのですじゃ!」
「「おおお~!」」
ソロモンさんの発言に、みんな揃って拍手する。
満場一致もいいところだった。
「ユチ様もよろしいでございますね!? 私めはこれ以上ないほど素晴らしい計画だと思いますが!」
「そ、そうだね……良いと思うよ……」
うん、いいよ。
みんなが楽しければ、もうそれでいいよ。
「ではさっそく、村の者たちにも知らせなければいけませんじゃ!」
「私めがお呼びいたします! 皆さま方~、お集まりくださいませ~!」
瞬く間に、領民たちが集まってくる。
結局、俺になす術は一つもなく村の特産品()作りが始まった。
――――――――――――――――
【生き神様の領地のまとめ】
◆ユチ・コレクション
デサーレチの特産品として作られる品々。
現時点で確認できるのは、ユチの1/6スケールフィギュア(半裸)、ユチ饅頭(表情違いで3種類)。
どちらもユチの再現度が非常に高い。
今後、何が増えるかはお楽しみ。