「さてと、だいぶ村は聖域化できてきたな。あのデサーレチがこんなに栄えるとは俺も思わなかったぞ」
「ユチ様の御業のおかげで、目まぐるしく発展しておりますね。では、マッサージを再開いたします」
「い、いや、だから、もう……」
俺は色々諦めながら領地を見ていた。
ひび割れていた地面は消え、全て柔らかそうな草地となっている。
まぁ、畑はジャングルだけど元気が良いってことだよな。
デスリバーも日の光を受けてキラキラと輝いている。
デスマインなんて霊山みたいな雰囲気だ。
心なしか輝いて見えて、なかなかに美しい光景だった。
ここがあのクソ土地だったなんて、誰も信じられないだろう。
「へえ! ずいぶんと栄えてるじゃねえかよぉ! とんでもないクソ土地ってウワサじゃなかったのか!? ええ!?」
村を眺めていると、やたらうるさい男の声がした。
荒れ地の方からだ。
そういえば、村の中や奥にある畑や川は聖域化したが、荒れ地はまだだった。
村の入り口を境に、瘴気まみれの土地と聖域が区分けされているって感じだな。
「また来客か? 最近は良く来るな」
「いいえ、ユチ様。あの者どもは客ではないようです」
ルージュが険しい顔をして、荒れ地の方を睨んでいる。
村に向かって十数人の男が歩いてきた。
ずかずかこちらへ向かってくる。
相手を威嚇するような凶悪な服装なんだが……どうした?
見るからに商人ではないよな。
かと言って、冒険者でもなさそうだ。
「頭ぁ! あんなところに村がありますぜ!」
「まるで入ってきてほしいと言ってるみたいじゃないかよ!」
「こりゃあ、お邪魔するしかないですぜ! ちょっくら休ませてもらいましょうや!」
どいつもこいつも、質の悪そうな瘴気がまとわりついている。
ほっといたら死んでしまいそうなくらいだった。
「あんなに栄えてりゃ、旅人を丁重にもてなすのは当たり前だよなぁ! 楽しみでしょうがねえや! おい、お前ら、裸のヒョロい男がいるぞ!」
「「ギャハハハハハ! なんだよ、あいつ!」」
悪い奴アピールがすごいな、こりゃまた。
先頭にいるヤツなんか、袖のところがビリビリに引き裂かれた服を着ている。
ズボンに至っては穴だらけだ。
モンスターに襲われたのだろうか。
「こんなところに何しに来たんだろう? 商売のつもりじゃなさそうだし」
「見たところ、盗賊団の類のようです。きっと村を襲いに来たのでございます」
「ゲッ、マジかよ。盗賊団かぁ」
騒ぎを聞きつけて、ソロモンさんもやってきた。
「どうしましたかの、生き神様」
「ああ、なんか盗賊っぽい人たちがこっちに来るんですよ」
盗賊団はみんな、胸の辺りにひょこッと瘴気が見える。
邪悪な心の持ち主のようだ。
ソロモンさんは男達を見ると、ニッコリ笑った。
「どれ、ワシが超魔法で八つ裂きにしましょうかの」
「いえ、私めが処理いたします」
ソロモンさんは超魔法を、ルージュは分解の準備を始める。
「あっ、ちょっ、待っ」
領民たちもぞろぞろ集まってきた。
「いや、お二人の手を煩わす必要もありません。俺たちが戦います」
「そうですよ。私たちにやらせてください」
「なんか気持ちが高ぶってきたな」
いつの間にか、みんな筋骨隆々になっていた。
村で採れる作物やら魚やらを食べているから、自然とパワーアップしたんだろう。
盗賊団なんか一撃で葬り去りそうだ。
「では、みんなで行きましょう。私めについてきてくださいませ」
「「はーい」」
「ちょーっと待ったあああ!」
彼らの前に慌てて立ちはだかった。
裸で死ぬほど恥ずかしいが、そんなこと気にしていられなかった。
「生き神様、どうして止めるのじゃ?」
「ユチ様はお休みになられていてよろしいのでございますが」
ソロモンさんもルージュも、ポカンとしている。
本当に、どうして止めに入ったかわからないようだ。
「いくら盗賊団でも殺しはダメですよ!」
ソロモンさんは何らかの覚悟を決めた顔をしている。
「ワシはもう我慢するのやめたですじゃ」
「一番我慢しなきゃいけないとこー!」
ルージュの手には短剣が握られていた。
「さて……」
「頼むから、短剣はしまってくれー!」
領民たちに至っては、誰が真っ先に盗賊団をぶちのめすかで相談していた。
「実は私、格闘術を習ったことがありまして。最近、また訓練を始めたんですよ」
「実は俺、剣術にハマっていて。最近、巨大な岩を砕けたんだよ」
「実は僕、ソロモンさんに魔法を教えてもらってまして。最近、<エンシェント・ファイヤーボール>を覚えたんですよ」
「タンマ! タンマ! タンマ! タンマ! 殺しはダメ!」
必死にみんなを説得するが、全然戦闘態勢をやめない。
「いや、そんなことを言いましても……ワシだってそろそろ超魔法でスッキリしたいのじゃ」
「ユチ様に向かってあのような暴言。万死どころか億死、いや兆死に値します」
俺の領地で殺人事件など起きてほしくない。
超魔法なんか使ったら、あいつらが木っ端みじんに吹っ飛ぶ。
ルージュに至っては、生きたまま例のアレをやりかねない。
ど、どうすればいい。
そんなことをしていたら、盗賊団が村の入り口まで来てしまった。
「おい、お前が領主のユチ・サンクアリかよ? ずいぶんと弱そうなヤツだな」
先頭にいる男は、太陽を想像させるようなツンツンした髪型だ。
「俺たちはAランク盗賊団〔アウトローの無法者〕だ。ボンボンのお坊ちゃまでも名前くらいは聞いたことあんだろ? ええ?」
「〔アウトローの無法者〕……」
屋敷に閉じ込められていた俺でも、名前くらいは聞いたことがある。
あらゆる金庫や倉庫を破ってしまう盗賊団だ。
「名前が重複しておりますじゃ」
「クソダサいグループ名でございますね」
二人の指摘にアタマリたちは額がビキッとしていた。
言っちゃいけないことだったらしい。
「父親が直接殺しを頼むなんて、よっぽど親子仲が悪いみたいだなぁ! ま、恨むんなら自分のしょぼい人生を恨んでくれや」
何がそんなにおかしいのか、ギャハハハ! と大笑いしている。
というか、父親が殺人を依頼したってマジか。
本当に俺が邪魔のようだ。
アタマリが余裕の表情で村の敷居を跨ぐ。
「あっ、勝手に入らないでくれよ」
「へっ、俺様に命令すんじゃねえ。今からぶっ殺してやるからな。ビビッてちびるんじゃねえぞ」
同時に、その身体にくっついている瘴気が苦しみだした。
『ギギギギ……』
聖域化の効力はまだ存分に残っているらしい。
自動で浄化されていくようだ。
「こんなクソガキを殺すだけで2000万エーン貰えるなんてな。楽な商売だぜ」
「ユチ様……」
「ああ、瘴気が浄化されているな」
アタマリは何やら言っていたが、瘴気が気になってそれどころじゃなかった。
『ギギギギギギギ…………キャアアアアア!』
あっという間に、アタマリの瘴気が消え去った。
「おい、聞いてんのか!? まあいい。一発で楽にしてやるからじっとしてろよ。さあ! さっさと死…………ここで働かせてくださああああああい!!!」
突然、アタマリが叫び出す。
さっきまでのヘラヘラした感じはどこかに消え去っていた。
それどころか、ビシリと直立不動で立っている。
「え? い、いきなりどうした?」
「領主様、いや、ユチ様! どうか私ども〔アウトローの無法者〕をここで働かせてください! 我が命、燃え尽きるまでユチ様のために使います! こんなに美しい気持ちになったのは始めてです!」
ビシーッという音が聞こえそうな勢いでお辞儀する。
とてもキレイな直角だった。
「か、頭? どうしました?」
「何を言っているんです?」
「俺たちはこいつを殺しに来たんですよ?」
盗賊団もポカンとしている。
「うるせえ! お前らも早くユチ様に忠誠を誓うんだよ! ユチ様、申し訳ございません! 私の教育の不届きのせいでございます! どうか、どうか、お見逃しください!」
必死にペコペコするアタマリを見て盗賊団が殺気立った。
「てめえ! 頭に何しやがった!」
「頭が謝ることなんか、絶対にないんだよ! ズタズタに引き裂いてやる!」
「簡単に死ねると思うな!」
勢い良く村に入ってくる。
そして、彼らの瘴気も消えていく。
『ギギギギギ……キャアアアアアア!』
「「この野郎! ぶち殺してや…………俺たちもここで働かせてくださああああい!」」
いきなり、アタマリと同じく直立不動の直角お辞儀をしてきた。
あまりの急展開に理解が追いつかない。
「な、なにが、どうしたんだ?」
「おそらく、生き神様の聖域によって改心したんでしょうな」
「瘴気と一緒に彼らの邪悪な心も浄化されたと考えられます」
そんなことがあるのか?
でも、確かに瘴気は消え去ってるしな。
「ほら、もう大丈夫だぞ。辛かったよな」
「生き神様の近くに居ればもう安心だ」
「さあ、俺たちと一緒にここで働こう」
領民たちが優しく彼らの肩を抱く。
「「はい、よろしくお願いします……うっ……うっ……ユチ様に出会えて本当に良かった……!」」
(元)盗賊団たちは、泣きながら領民に連れて行かれる。
何はともあれ、危機は去ったらしい。
――――――――――――――――
【生き神様の領地のまとめ】
◆“キレイな”Aランク盗賊団〔アウトローの無法者〕
あらゆる倉庫や金庫を破っていた盗賊団。
アタマリを頭とした十数人のグループ。
もう少しでSランクになれそうだった。
ユチの作った聖域により改心し、人生をユチに捧げることを誓う。
実態は優秀な鍛冶職人の集団。
「ユチ様の御業のおかげで、目まぐるしく発展しておりますね。では、マッサージを再開いたします」
「い、いや、だから、もう……」
俺は色々諦めながら領地を見ていた。
ひび割れていた地面は消え、全て柔らかそうな草地となっている。
まぁ、畑はジャングルだけど元気が良いってことだよな。
デスリバーも日の光を受けてキラキラと輝いている。
デスマインなんて霊山みたいな雰囲気だ。
心なしか輝いて見えて、なかなかに美しい光景だった。
ここがあのクソ土地だったなんて、誰も信じられないだろう。
「へえ! ずいぶんと栄えてるじゃねえかよぉ! とんでもないクソ土地ってウワサじゃなかったのか!? ええ!?」
村を眺めていると、やたらうるさい男の声がした。
荒れ地の方からだ。
そういえば、村の中や奥にある畑や川は聖域化したが、荒れ地はまだだった。
村の入り口を境に、瘴気まみれの土地と聖域が区分けされているって感じだな。
「また来客か? 最近は良く来るな」
「いいえ、ユチ様。あの者どもは客ではないようです」
ルージュが険しい顔をして、荒れ地の方を睨んでいる。
村に向かって十数人の男が歩いてきた。
ずかずかこちらへ向かってくる。
相手を威嚇するような凶悪な服装なんだが……どうした?
見るからに商人ではないよな。
かと言って、冒険者でもなさそうだ。
「頭ぁ! あんなところに村がありますぜ!」
「まるで入ってきてほしいと言ってるみたいじゃないかよ!」
「こりゃあ、お邪魔するしかないですぜ! ちょっくら休ませてもらいましょうや!」
どいつもこいつも、質の悪そうな瘴気がまとわりついている。
ほっといたら死んでしまいそうなくらいだった。
「あんなに栄えてりゃ、旅人を丁重にもてなすのは当たり前だよなぁ! 楽しみでしょうがねえや! おい、お前ら、裸のヒョロい男がいるぞ!」
「「ギャハハハハハ! なんだよ、あいつ!」」
悪い奴アピールがすごいな、こりゃまた。
先頭にいるヤツなんか、袖のところがビリビリに引き裂かれた服を着ている。
ズボンに至っては穴だらけだ。
モンスターに襲われたのだろうか。
「こんなところに何しに来たんだろう? 商売のつもりじゃなさそうだし」
「見たところ、盗賊団の類のようです。きっと村を襲いに来たのでございます」
「ゲッ、マジかよ。盗賊団かぁ」
騒ぎを聞きつけて、ソロモンさんもやってきた。
「どうしましたかの、生き神様」
「ああ、なんか盗賊っぽい人たちがこっちに来るんですよ」
盗賊団はみんな、胸の辺りにひょこッと瘴気が見える。
邪悪な心の持ち主のようだ。
ソロモンさんは男達を見ると、ニッコリ笑った。
「どれ、ワシが超魔法で八つ裂きにしましょうかの」
「いえ、私めが処理いたします」
ソロモンさんは超魔法を、ルージュは分解の準備を始める。
「あっ、ちょっ、待っ」
領民たちもぞろぞろ集まってきた。
「いや、お二人の手を煩わす必要もありません。俺たちが戦います」
「そうですよ。私たちにやらせてください」
「なんか気持ちが高ぶってきたな」
いつの間にか、みんな筋骨隆々になっていた。
村で採れる作物やら魚やらを食べているから、自然とパワーアップしたんだろう。
盗賊団なんか一撃で葬り去りそうだ。
「では、みんなで行きましょう。私めについてきてくださいませ」
「「はーい」」
「ちょーっと待ったあああ!」
彼らの前に慌てて立ちはだかった。
裸で死ぬほど恥ずかしいが、そんなこと気にしていられなかった。
「生き神様、どうして止めるのじゃ?」
「ユチ様はお休みになられていてよろしいのでございますが」
ソロモンさんもルージュも、ポカンとしている。
本当に、どうして止めに入ったかわからないようだ。
「いくら盗賊団でも殺しはダメですよ!」
ソロモンさんは何らかの覚悟を決めた顔をしている。
「ワシはもう我慢するのやめたですじゃ」
「一番我慢しなきゃいけないとこー!」
ルージュの手には短剣が握られていた。
「さて……」
「頼むから、短剣はしまってくれー!」
領民たちに至っては、誰が真っ先に盗賊団をぶちのめすかで相談していた。
「実は私、格闘術を習ったことがありまして。最近、また訓練を始めたんですよ」
「実は俺、剣術にハマっていて。最近、巨大な岩を砕けたんだよ」
「実は僕、ソロモンさんに魔法を教えてもらってまして。最近、<エンシェント・ファイヤーボール>を覚えたんですよ」
「タンマ! タンマ! タンマ! タンマ! 殺しはダメ!」
必死にみんなを説得するが、全然戦闘態勢をやめない。
「いや、そんなことを言いましても……ワシだってそろそろ超魔法でスッキリしたいのじゃ」
「ユチ様に向かってあのような暴言。万死どころか億死、いや兆死に値します」
俺の領地で殺人事件など起きてほしくない。
超魔法なんか使ったら、あいつらが木っ端みじんに吹っ飛ぶ。
ルージュに至っては、生きたまま例のアレをやりかねない。
ど、どうすればいい。
そんなことをしていたら、盗賊団が村の入り口まで来てしまった。
「おい、お前が領主のユチ・サンクアリかよ? ずいぶんと弱そうなヤツだな」
先頭にいる男は、太陽を想像させるようなツンツンした髪型だ。
「俺たちはAランク盗賊団〔アウトローの無法者〕だ。ボンボンのお坊ちゃまでも名前くらいは聞いたことあんだろ? ええ?」
「〔アウトローの無法者〕……」
屋敷に閉じ込められていた俺でも、名前くらいは聞いたことがある。
あらゆる金庫や倉庫を破ってしまう盗賊団だ。
「名前が重複しておりますじゃ」
「クソダサいグループ名でございますね」
二人の指摘にアタマリたちは額がビキッとしていた。
言っちゃいけないことだったらしい。
「父親が直接殺しを頼むなんて、よっぽど親子仲が悪いみたいだなぁ! ま、恨むんなら自分のしょぼい人生を恨んでくれや」
何がそんなにおかしいのか、ギャハハハ! と大笑いしている。
というか、父親が殺人を依頼したってマジか。
本当に俺が邪魔のようだ。
アタマリが余裕の表情で村の敷居を跨ぐ。
「あっ、勝手に入らないでくれよ」
「へっ、俺様に命令すんじゃねえ。今からぶっ殺してやるからな。ビビッてちびるんじゃねえぞ」
同時に、その身体にくっついている瘴気が苦しみだした。
『ギギギギ……』
聖域化の効力はまだ存分に残っているらしい。
自動で浄化されていくようだ。
「こんなクソガキを殺すだけで2000万エーン貰えるなんてな。楽な商売だぜ」
「ユチ様……」
「ああ、瘴気が浄化されているな」
アタマリは何やら言っていたが、瘴気が気になってそれどころじゃなかった。
『ギギギギギギギ…………キャアアアアア!』
あっという間に、アタマリの瘴気が消え去った。
「おい、聞いてんのか!? まあいい。一発で楽にしてやるからじっとしてろよ。さあ! さっさと死…………ここで働かせてくださああああああい!!!」
突然、アタマリが叫び出す。
さっきまでのヘラヘラした感じはどこかに消え去っていた。
それどころか、ビシリと直立不動で立っている。
「え? い、いきなりどうした?」
「領主様、いや、ユチ様! どうか私ども〔アウトローの無法者〕をここで働かせてください! 我が命、燃え尽きるまでユチ様のために使います! こんなに美しい気持ちになったのは始めてです!」
ビシーッという音が聞こえそうな勢いでお辞儀する。
とてもキレイな直角だった。
「か、頭? どうしました?」
「何を言っているんです?」
「俺たちはこいつを殺しに来たんですよ?」
盗賊団もポカンとしている。
「うるせえ! お前らも早くユチ様に忠誠を誓うんだよ! ユチ様、申し訳ございません! 私の教育の不届きのせいでございます! どうか、どうか、お見逃しください!」
必死にペコペコするアタマリを見て盗賊団が殺気立った。
「てめえ! 頭に何しやがった!」
「頭が謝ることなんか、絶対にないんだよ! ズタズタに引き裂いてやる!」
「簡単に死ねると思うな!」
勢い良く村に入ってくる。
そして、彼らの瘴気も消えていく。
『ギギギギギ……キャアアアアアア!』
「「この野郎! ぶち殺してや…………俺たちもここで働かせてくださああああい!」」
いきなり、アタマリと同じく直立不動の直角お辞儀をしてきた。
あまりの急展開に理解が追いつかない。
「な、なにが、どうしたんだ?」
「おそらく、生き神様の聖域によって改心したんでしょうな」
「瘴気と一緒に彼らの邪悪な心も浄化されたと考えられます」
そんなことがあるのか?
でも、確かに瘴気は消え去ってるしな。
「ほら、もう大丈夫だぞ。辛かったよな」
「生き神様の近くに居ればもう安心だ」
「さあ、俺たちと一緒にここで働こう」
領民たちが優しく彼らの肩を抱く。
「「はい、よろしくお願いします……うっ……うっ……ユチ様に出会えて本当に良かった……!」」
(元)盗賊団たちは、泣きながら領民に連れて行かれる。
何はともあれ、危機は去ったらしい。
――――――――――――――――
【生き神様の領地のまとめ】
◆“キレイな”Aランク盗賊団〔アウトローの無法者〕
あらゆる倉庫や金庫を破っていた盗賊団。
アタマリを頭とした十数人のグループ。
もう少しでSランクになれそうだった。
ユチの作った聖域により改心し、人生をユチに捧げることを誓う。
実態は優秀な鍛冶職人の集団。