空の色を映したメッセージは柔らかな温もりを帯び、出会った頃と同じように僕の手のひらにあった。


優しいほどに寂しい友との別れは、海のようにしょっぱい味がするのだと、僕は初めて知った。


とめどなく溢れる涙を拭いもせず、僕は空を見上げる。


この空を超えた宇宙のどこかで、ヨアケは確かに生きていたのだ。命を燃やしていたのだ。誰かに知られることもなく、ただ懸命に。


あぁ、たとえ彼の声を忘れてしまっても、その小さな鼓動だけは覚えていたい。
君を想って流した涙を、忘れずにいたい。


メッセージの仄かな光が、滲んだ視界を包んだ。


いずれ季節は移りゆき、冬が終わる。


また、春が来て、夏が来て、秋が来て、そして君に出逢った冬が来る。


僕らは孤独だったけれど、その孤独でさえ愛おしいものだと思える日が来るといい。



茜に藍が広がり夜が始まる頃、僕は涙を拭き鼻を啜った。


これから、たくさんの世界の美しいものを知るだろう。
ヨアケの知らない未来を生きるだろう。


そうしていつか眠りにつき、ヨアケと巡り会ったら、今度は僕が不器用な話をしよう。


美しい地球と、愛しい孤独の話を──。


「ヨアケ。いつか、きっとまた」


手のひらの温もりは青く透明な結晶に変わり、僕の声を聞き届けるように、その役目を終えた。


頭上には、幾千もの星たちが瞬いていた。