──こちら地点KNCNS4.4。


心の奥深くにまで届いた声に、僕ははっと顔を上げる。


気持ちに反してゆっくりと声を辿った視線が、岩場の陰に落ちた。


──これが、最後のメッセージになるだろう。……この星はもう持たない。物資が尽きて、もうじき俺は死ぬ。
正直、もうメッセージは飛ばせないかと思っていた。願いが叶うという氷の鳥の言い伝えは本当だったんだな……もう一度、君と話ができた。


「ヨアケ!!」


──探索隊として宇宙に出てからは、本当に色んなことがあった。
たくさんの世界の美しいものを見た。仲間の優しさに触れた。孤独を知った。

何にも代え難いのは、君に出逢えたことだ。誰かが俺の声を聞いてくれているかもしれない。俺が生きていたということを知っていてくれるかもしれない。そう想像するだけで、俺は一人ぼっちでも生きてこられた。勝手な思いだけど、会ったことも見たことも声も聞いたこともない誰かのことを、俺は……


ヨアケは一瞬、言葉を切った。
泣き笑いのような表情が、その息遣いの後ろに見えた気がした。


──俺は友達だと思ったんだ。想像の君に出逢えたこと、本当に嬉しく思う。言葉がなくても、ずっと、ずっと君の心の傍にいる。いつかまた逢えたら、君の星の話を聴かせてほしい。……それじゃあ。