バスは丁度いい時間に乗れたからよかったけど、スマホで調べてみると電車は運悪く30分くらい待つみたいだ。

 バスに乗り、駅まで着いた。

 周りには今風の住宅街が広がっていて、コンビニなどのお店も立ち並ぶが、駅舎だけやけに昭和感があり、周りの景色とあってない。ここだけ『ザ・秘境』という感じだ。ホームと待合室くらいしかないこの箱のような小さな駅舎で30分も待つのか。少しきついな。この富士山から湧き出るみたいに新鮮な空気を吸っていれば自然と時間が経過するだろうか。

「そうだ、少しお腹に入れておこう」

 なぜだかあまりお腹は空いていなかったけれど、何かしら口にしておいた方がいいかなと思い、カバンにいつも入れてあるキットカットを駅舎にある待合室(といっても椅子ぐらいしかないけど)で食べた。ただ、それを食べ終わるとすることがなくなった。

 食べてから10分くらい経った頃、駅舎に私と同じくらいの年齢の男の人がまるで亀みたいにゆっくりとしたスピードで入ってくる。それになんか落ち着きがない感じだ。忘れ物でもしたんだろうか。それとも人を待っているのだろうか。

「あの、どうしたんですか?」

 私は人見知りな方だけど、気になってしまったので、立ち上がって声を掛けてみた。

「あ、えっと……いや、その……」

 その人は言葉がまとまってなく、よく聞き取れない。まるで故障しかけたロボットみたいだ。

「あの」

「はいっ!」

 急にそう言われたので思わず大きな声になってしまう。何? なに?

「あなたは私と同じ高校生ですか?」

「はい、高1ですけど」

 私と同じということは多分この人も高校生なんだろう。でも、この人は私服――それにオシャレしてるから何か特別なことでもあるんだろうか。

「あの、お話聞いてもらってもいいですか?」

 お、は、な、し……?