「俺はどっちでもいいよ。二週間先までは既にシフトが決まってるけど、それ以降なら調整できるから」
「そうなんだね。じゃあ、早めに予定を決めて連絡するね」
「わかった」
おとなしい性格だと思っていた西田さんは、一対一だと案外よく話すタイプらしい。
俺の食べ物の好き嫌いとか、よく行く店はあるかとか、コンビニのバイトは週に何回くらい入っているのかとか。いろんなことを聞いてきた。
西田さんの質問にぽつぽつと答えているうちに、入り口の門の前に辿り着く。
「じゃあ、俺はこっちだから」
西田さんが通学で利用している電車の駅とは真逆の方向を指差すと、彼女が少し残念そうな顔をする。俺はその意味を極力考えないようにして、彼女に手を振った。
「また明日ね」
「うん、また」
駅へと向かう西田さんに背を向けると、バイト先のコンビニに向かって歩く。