俺の隣を楽しそうに歩いている大内優芽の横顔を斜め上からジッと見ていると、彼女が振り向いて不思議そうに首を傾げた。

「どうかしました?」 

「いや。雨なのに、やけに楽しそうだなーって思って」

「楽しいですよ。リュウガ先輩と一緒にいられたら、雨が降ってても槍が降ってても楽しいです」

「なにそれ」

「リュウガ先輩がいれば、何でもオッケーってことですよ」

 大内優芽が三日月形に目を細めてふふっと、笑い声をあげる。本気で嬉しそうな純粋な笑顔に、不覚にもドキッとした。

 これまで人並みに女の子と付き合ったりしてきたけれど、こんなにも真っ直ぐに、一緒にいられるだけでいいなんて言ってもらえたことあったっけ。

「夢の中でも、そう思ってた?」

 深く考えずにそんな言葉を口にすると、大内優芽が驚いたように少し目を見開いた。

「リュウガ先輩から夢のこと聞いてくれるの、めずらしいですね」

「そんなことないだろ」

「そんなことありますよ。これまで夢のことを訊いてくるリュウガ先輩は、私のことをからってるか本気にしてないって顔してたじゃないですか。でも、今の訊き方はこれまでとはちょっと違った」

「どこが?」

「まなざしとか、声が」

 そう言われて怪訝に顔をしかめると、大内優芽がふふっと嬉しそうに笑う。